3 ページ3
*
「あっれ、Aちゃん！」
「遅い」
汗だくで駆け寄ってくる天童。
私は彼にプリントを渡してさっさと体育館を出ようと、ローファーを履く。
外に出て、校門を出ればもう田んぼ。
田舎って嫌。
しばらく歩いていると、走るような軽快な足音が後ろから聞こえてくる。
「Aさんじゃないっすか」
「……なに」
「いや、Aさんだなって」
川西太一が私の隣に来ると、走るペースを落として私に合わせて歩く。
私は少し距離を取って彼を置いていく。
それもお構い無しに川西太一は私と距離を縮めて、話しかけてくる。
「次2年がロードワークなんすよ」
「あっそ」
「興味無さそうっすね」
「あのさ」
私は眉をひそめて彼に言う。
彼はなんすか？と張り付いたような笑顔を浮かべて聞き返す。
「はっきり言わないとわかんないの？ 迷惑だから話しかけてこないで」
「いやっす」
「なんで」
「俺、美人でスタイルのいいお姉さん好きなんで」
やっぱ歳上はいいですよねー、と続ける川西太一。
本気で可笑しいんじゃないの。
「川西太一は……」
「呼び捨てでいいっすよ」
「もう既に呼び捨てだけど」
「川西か太一でいいってことです」
コミュ力が高いだけなのか、それとただの空気が読めないやつなのか。
勝手に話を進めていくから、そのペースにのまれてしまう。
「太一、迷惑だから私には近寄らないで」
「Aさん……！」
「あんたに名前呼び許可した覚えはない」
「え、ダメっすか」
きょとんとした顔で、真面目に聞いてくるものだからつい笑ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時雨 彩(プロフ) - 海石榴《ツバキ》さん» コメントありがとうございます！見てくださる方がいると書き手として自信になります。御愛読ありがとうございます！ (2019年12月21日 0時) (
レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
海石榴《ツバキ》(プロフ) - 今、時雨彩様の作品を見て回ってるんですが、どれも素敵な作品ですね。その文才がうらやましいです。 (2019年12月21日 0時) (レス) id: 906a0c9fbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
