【及川徹】重ねて、忘れて純愛【HQ】 (ページ48)

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及川side

俺たち同級生が話していると、Aさんがそっとこの場を離れようとしているのが視界の端に見えた

俺はすかさず彼女の方を向いて小さく手を振った。

すると彼女は可愛らしく微笑んで同様に小さく手を振り返してくれた

なんだか恋人同士みたいで少し照れくさい
俺は頬が緩むのを抑えつつ、前を歩く三人に着いて行った

.

しばらく駄弁りながら歩くと飲み屋街に出る
俺たちは行きつけの店ののれんを潜り席に着いた

適当に色々頼んでやっとひと息。
初めに話し始めたのはマッキーだった

｢いやー、それにしても手術本当にお疲れ｣

｢それな。これからはもう少し自分の体大切にしなさいね｣

｢んー、それは保証できないな｣

そう続けるまっつんに笑いながら返す俺

マッキーとまっつんは高校時代、俺の見てる方がゲロを吐きそうだと女バレの子に言われた練習量を目の当たりにしでも尚、ついてきてくれた数少ない仲間だった

｢それにしても、手術したって事はまたバレー戻るんだよなぁ……あの殺人サーブ復活か｣

｢あのサーブも上に行けば行くほど効かないけどねぇ……｣

マッキーがそう言うが俺は苦笑いしながら返す
丁度その時頼んでいた生とつまみが運ばれてくる

｢どーせ大学では、練習終わっても体育館残ってサーブ練してたんだろ｣

｢ゔｯ……それは………｣

岩ちゃんの一言に言葉が詰まる
だって練習しなきゃ………どうしようもないじゃん。

｢はっはっ！高校ん時は岩泉に引っぱたかれて帰ってたよな！！｣

｢あれね。今日はいつ岩泉が来るのか、なんて考えてたわ｣

マッキーはそう笑いながら生を胃に流し込む。まっつんも懐かしそうに笑う

するとまっつんは焼酎ロック片手にニヤリと笑う

｢でもまぁ、あの年上彼女さんもいる事だし……もう心配は要らないかな？｣

｢ゲｯ……｣

｢あー、こっそり手ェなんか振っちゃって？バレてないとでも思った？｣

｢………思った｣

俺は顔を真っ赤にさせ黙り込む
まっつんとマッキーは顔をニヤニヤさせ、岩ちゃんはプルプルと震えて必死に笑いをこらえているのが分かる

｢あー、二人にいいこと教えてやるよ｣

何とか笑いを堪えきった岩ちゃんはそう言ってジョッキを机に置くと爆弾を落とした

｢こいつ、あの人に振られてるんだぜ？｣

｢え"！？まじかよ！？てか、及川振る奴とか居んの！？顔だけは良いのに！｣

｢ちょ！マッキー！？それ酷くない！？｣

そして夜は更けていく