【及川徹】重ねて、忘れて純愛【HQ】 (ページ4)

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彼の様子から仲のいい人なのかな、と思いながらパソコンと向かい合う。軽くキーボードを叩き見つけたミスを直しながら何となく彼の声を聞いていた

「え？あぁ、まぁぼちぼち。」

やっぱり似てるなぁと改めて感心すらしてしまう

「……うん、うん。……分かってるよ」

相手に返事をしながらふわっと笑う

思わず見てしまうほどイケメンだ
あの人もこんな風に笑うのだろうか？

積もる話なのか及川君は相手と話しながらゆっくりと外に出て行く

それを横目で追いながら、確認を終え下書きのマークをクリックした後、思わず息を吐いて額をおさえた

「ふぅ………」

「なんか、お疲れ？」

隣に座っていた同級生が缶コーヒー片手にそう声をかけてくれる

「ははっ、まぁ……」

「ふーん、無理はしないようにね」

「うん、ありがと」

同級生の励ましを受けつつ、パソコンで卒論の資料を開いてボーっと眺めた

あの電話の相手は誰だろう。あの女性？
彼はまだ彼女じゃないって言ってたけど彼女が好きなのだろうか。

別に及川君が誰と付き合おうと勝手だけど、あの人に似てるせいか何となく嫌な気持ちが頭の片隅に浮かぶ

うーん

あの人は今、何をしているのだろう

就職したって事は仕事してるのか。
もう27、8………結婚しててもおかしくない

名前も知らないのにほんと自分でも馬鹿げてると思う

そんな不安と苛立ちがムクムクと膨らむ
そして私の思考は一周まわって戻ってきた

及川君、ほんと似てるよな

勿論ちゃんと見れば違うのだけれど、もしかして兄弟とか？いやいや、そんな運命ありえないし全然笑えないよ

そんな事をグルグル考えていたら、再び研究室の扉がガチャリと音を立てる

電話を終えた及川君が携帯を弄りながら自分の席に座る

何となくこの場に居ずらいのを隣の席から漂うコーヒーの匂いに釣られたせいにして、私は飲み物を買うため席を立った

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