【及川徹】重ねて、忘れて純愛【HQ】 (ページ24)

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及川side

Aさんが壁の高いところに飾りを付けようと背伸びをしているのを見かけ、後ろからモールを取る

｢わっ｣

｢……あ、テープ取ってもらって良いですか？｣

｢う、うん｣

テープを取るようお願いすれば慌てて近くのテープをとってくれた

「ありがとうございます、こういうの言ってもらえればやるんで」

「え、あ、ありがとう……」

そう笑って返せばチラリとどこかに視線を移す彼女。そちらを見れば男の先輩が背伸びをして高い所の飾り付けをしていた

｢あ、貸してください｣

そう言って高い所の仕事は引き受ける
高校からまた少し伸びて187センチ程ある身長はこうゆう時役立つ。

俺がテープを貰おうと彼女のほうを向く。

｢……ぁ｣

彼女は、どこか懐かしそうな顔をしてこちらを見ていた。キュッと心が締まる

また重ねてる………

俺は彼女の顔が見れなくて、飾りのほうに顔を戻し壁を向いたまま呼び掛けた

｢Aさん！テープ貰っていいですか？｣

｢あ、うん！｣

.

大方の飾り付けを終わらせ、出来上がった部屋を見渡す。

結構本格的で達成感すら感じる
そう思っていると誰かが俺の肩を叩くので振り返ると、それはAさんの友達の先輩だった

｢どうしました？｣

｢どうしましたじゃないよ、徹。私はあんたを益々カッコよくしなきゃいけないんだからね｣

｢………はい？｣

そう返事したとたん、先輩は俺の腕をガシッと掴んで研究室の隣にある資料室の中に放り込み、そして俺と一緒に放り込まれた衣装らしき服

おっと？？

その服を広げてみると、白の洒落たＹシャツに黒の蝶ネクタイ。黒のスーツのズボン、黒と裏地は赤のマント

あー、これは………

早く着替えてね！と外から声がして色々と察した
つまり、俺にこの仮装を着て欲しい訳だ。多分この衣装は……吸血鬼？

とりあえず先輩の言うことは聞かないとだし、今着てる服を脱いで用意された衣装に腕を通す

着替え終え、おかしい所は無いか一通り確認。
そして今まで着てた服を持って研究室に戻る

｢うわー……イケメンって凄いね｣

｢ど、どうも……｣

先輩はそう言葉を漏らしながらスタンドミラーが置かれた机の前に俺を座らせる。

｢さー、お客さーん。すこーしじっとしててくださいねぇ？｣

｢は、はい……｣

心底楽しそうに言う先輩の声に頷くことしか出来ず、俺は言われた通り目をつぶった

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