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*及川side
合コンの約束を取り付けてから、1週間後の金曜日の今日。
合コンの日。
Aさんは今日、研究室には来ていなかった。
俺はジャケットを羽織って集合場所の少しオシャレな居酒屋に向かう。
居酒屋の前に着いて、ほかのメンツを待っていると後ろから声がする。
「及川くん」
「……Aさん?」
黒いレースのインナーに胸元の開いた白い大きめのセーターを着て、デニムのガウチョパンツ。
髪を先の方だけ巻いたAさん。
おしゃれする時はこういうの着るんだ、なんてAさんのことを知れて喜んでる自分がいる。
その自分を振り切る。
Aさんがはにかんで言った。
「ちょっと頑張ったんだ、どうかな」
「……まぁ、いいんじゃないですか」
「A! 徹!」
「うっわ、まじイケメンじゃん!!」
「レベルたっか!」
先輩の横で騒ぐ女性陣に苦笑いを浮かべるAさん。
時間になったからか男性3人と俺、女性3人とAさんの8人で居酒屋に入る。
合コンが始まって1時間ほどが経つ。
俺は酔わない程度にチューハイを飲んでいる。
俺の前に座るAさんの横に一人の男が座って言った。
「Aちゃんてさ、可愛いけど彼氏いないの?」
「いないですよ」
「えー、俺だったらほっとかないのに!」
「えぇっ、ありがとうございます」
馴れ馴れしく肩なんて抱いて。
自分の眉間にシワがよっていくのがわかる。
俺は一気に残りのチューハイを飲み込んだ。
Aさんが、小さ目のカバンを抱えて立ち上がって言った。
「お手洗い、行ってきます」
「じゃあ俺も」
そう言ってAさんを追いかける男。
20分から30分経っても帰ってこない、少しだけ胸がざわつく。
イライラしているのか、自分の気持ちを押し殺すように言った。
「風浴びてきます」
「徹くん、行っちゃうの?」
「酔ってきちゃって」
小さくため息をついて、外に出るとAさんと男の姿があった。
なんでもないはずなのに。
どうでもいいはずなのに。
俺はAさんの手を掴んで、男から乱暴に引き離した。
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いずみ(プロフ) - とても面白くて、先が気になるお話です! (2019年10月20日 21時) (レス) id: ce54617277 (このIDを非表示/違反報告)
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