【及川徹】重ねて、忘れて純愛【HQ】 (ページ2)

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一通り研究に区切りがつき、座ったまま軽い伸びをする

ググッと背中を伸ばし首周りをほぐす
ふと腕時計に目をやると6時を回っていた

｢……帰ろ｣

そう呟いて席を立ち、資料やらなんやらをバックの中に詰め込んだ

今日は久々に彼の事を思い出した
もう随分と前の事なのに、ふと思い出すと心が苦しいとは自分も乙女なものだ

｢先、失礼します｣

｢おー、お疲れ｣

同じ研究室の人にそう声をかけて部屋を出た

院生となれば大学生活の殆どを研究室で過ごす
長い時は10時間なんて優に超えるし、大変だが自分の好きな事はいくらでもやれるので苦ではない。

｢あ……｣

下宿先のアパートに戻るため足を進めていると、ふと今日の朝冷蔵庫を見て落胆したことを思い出す。

今家にろくな食材がない

最近は新しく来る3年の為、研究室を整理したりと忙しかったので中々買い物に行けていなかった

今からスーパーに行くのは面倒だが仕方ない
いつもは真っ直ぐ進む道を今日は右に曲がった

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「わ、安い」

外よりヒンヤリとする店内で白菜片手にそう声を漏らす。これは今度鍋でもしようかと考えながらカゴに入れた

他にも足りない調味料や食材を入れ会計へ進む

「4362円になります」

結構買ったなと思いつつ財布から小銭を出して会計を終える

外に面した場所で袋詰めをしていると、視界の端であの人の姿が見えた気がした

ハッと息を飲み顔を上げる

もしかして、会えるかもしない

しかしその期待は簡単に崩れる

「……あ…及川君」

スーパーの外で女性と親しそうに話す彼
それはあの人ではなく及川君だった

他の人と見違えるなんてよっぽどだな、と自分に呆れつつ重い袋を持って自動ドアをくぐった

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