【天童覚】カフェ・ノスタルジア【HQ】

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「Aちゃん！ 久しぶり！」


そう言って手を振る天童さん。
クリスマスの夕方、私は退院して病院から直行で天童さんの元へ向かった。

まだ5時過ぎなのに真っ暗な空。
私は天童さんの元へ駆け寄って行った。


「あっれ、今日はオシャレさんだネ」

「オシャレさんですよ」

「うん、可愛いヨ」


そう言って、私の耳にぶら下がるリーフ型のイヤリングに触れる天童さん。
首筋に少し触れる天童さんの指が熱い。


「先にブッシュドノエル作ろっか！」

「はい」


私達は店に入り、キッチンに立つ。
当たり前のように私の隣でエプロンをつける天童さん。

彼をキッチンから追い出す。
すると不満げに言った。


「Aちゃん、料理なんてできるのー」

「できません」

「ダメじゃん！」

「レシピはあります！」

「ねー邪魔はしないから、俺もなんか作るー」


そう言ってまたキッチンに入る。
どうしようもない、と思い私は薄力粉をふるいにかける。

私の隣でブッシュドノエルよりも難しそうな、小さなケーキを作る天童さん。


「できた！」


木目をつけてできたブッシュドノエル。
冷蔵庫に入れて、天童さんを見る。


「いい時間だし、そろそろ行く？」

「そうですね」


ピーコートを羽織って、手袋をつける。
マフラーを巻いて、顔をうずめる。
天童さんはダウンを羽織って外に出て鍵をかける。

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