【天童覚】カフェ・ノスタルジア【HQ】

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「こんにちは」

「あー、どーもー」


私が店の扉を開けると、そう言って不貞腐れてる天童さん。
顔をムスッとさせて私をじとっと見る。


「で、赤葦とはどうなったの」

「……内緒です」


そう言ってはにかんで見せる。
天童さんはバツが悪そうに仕事に取り掛かる。


「Aちゃん」

「はい？」

「……なんでもない」


私はエプロンをつけて、店に出ると1組のカップルがお客さんとして来ていた。
2人を見ていると昨日のことを思い出す。


「……てんどーさん」


そうボソッと呟く。
私、取り返しのつかないことをしてしまったんじゃないか。

昨日の記憶が、天童さんのことしか思い出せない。


「すみませーん」

「はいっ」


私は笑顔を作り、カップルの元へ向かう。
注文をうけ、簡単にメモをとり天童さんの元へ持っていく。

キッチンで忙しそうに料理をこしらえる、天童さん。
メモを貼り、店に出る。

閉店の時間になると、いつも通りまかないと持って机に座る天童さん。
いつも通り私の分まである。


「Aちゃん、はやくー」

「はい」


天童さんと向き合って座る。
顔を見ることができず下を向いて、いただきますと言う。

いつも通りの美味しそうな匂い。

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