28th story ページ34
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『スコッチ…?』
目の前には確実にスコッチが立っていた。
悲しそうな顔で。
「シャルドネ… 死んだのか?」
『わからない。もしかしたら、生きているかもしれないし。』
自分でも何を言っているのかわからない。
私は死んだの?
爆発に巻き込まれて死んじゃったの?
零は? 零は、無事なの?
『私、死んだのかなぁ…』
そう呟けば、スコッチは目をまん丸くして、怒鳴った。
「なわけないだろ!シャルドネが、死んだわけない! お前が死んだら、あいつは、ゼロはどうするんだよ!」
『ゼロ…零のこと?』
「あ、あぁ。とりあえず、シャルドネが死んじまったら、あいつ、取り残されるぞ? 俺は、こんなこと言う資格ないけど、あいつは、いいやつなんだ。俺が、勝手に死んだから… 」
『勝手に、死んだ…?』
勝手に死んだ?
ライに、殺されたんじゃないの?
追い詰められたんじゃないの?
「あ、まさかシャルドネ、知らないのか? まぁ、そうだよなー、ライ、こういうこと言うやつじゃないもんなー」
スコッチが一人でうんうんと頷く。
私にはさっぱり理解できず、首を傾げれば、スコッチが説明した。
「誤解してるかもしれないけど、実は…
.
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そうだったんだ。
ライは、スコッチを止めたんだ。
それで、零が駆けつけて…
ライはやっぱり優しいじゃない。
いつもは優しさなんて見せないくせに。
…最後まで、止めてくれていたんだ。
絡み合っていた無数の糸がぱっと解ける。
これが、私が探していた
『スコッチ、私死んだ?』
「まだ死んでない。シャルドネ、早くゼロのところに行ってやれ。あいつ、待ってるだろうから。」
『うん… スコッチは、いなくなっちゃうの?せっかく会えたのに…』
「まぁ、俺は幽霊だし、一応。 あ、あと一つだけ。 シャルドネの、名前が知りたい。 死んだあと、ずっと気になっていたんだ。」
『A。それが、私の名前。忘れないでよね!』
「あぁ、当たり前だ!」
そう言ってニカッと笑うスコッチ。
相変わらず太陽のような笑顔だった。
少しずつ、辺りが明るくなってくる。
もう、スコッチには、会えないのだろうか。
最後にスコッチに手を振って、私の身体はふわっと消えた。
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作者名:紅月 | 作成日時:2018年3月6日 18時