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25th story ページ31

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任務当日。
バーボンと並んで会場に入る。
ジン曰く、パーティー中らしい。

『…すごい人だかり。』

「まぁ、かなり大きな会社でしょうし。」

『ふぅん。』

周りを見れば有名人ばかりで、いまいち標的(ターゲット)が見つからない。

『…どこだろ、社長さん。』

「あ、あれじゃないですか?ほら、あそこの。」

『あぁ、いかにも社長って感じ〜 』

バーボンが指差した先には、いかにも社長と言っていいような男性がいた。

さぁ、ここからが大事。
どう近づくか…
そろそろ酔いが回ってきているだろう。
チャンスかもしれない。

『…そろそろ行くね。バーボンは待ってて。何かあったらこのインカムで連絡するよ。』

「えぇ、わかりました。お気をつけて、くれぐれも。」

『はいはい。』

なんだ、バーボンは私の保護者か。
そう思ったけれど、心配してくれるのもバーボンくらいか… 我ながら悲しい。







『あの…ここの社長さんですよね?』

そっと近づいて上目遣いでなるべく(本当になるべく)甘い声で囁けば、さすが女好きの社長、すぐに振り向く。

「おや、お美しいお嬢さん。どうかしましたか?」

うわ、ホント単純。
心の声を漏らさないように必死になる。

『実は… 社長さんに憧れていて、少しお話を伺っても?』

「貴女のようなお嬢さんに言われて、断る男はいないでしょう。私の部屋へ、案内しますよ。ここは騒がしいですから。」

『本当ですか?ありがとうございます…』

感激したように社長の手を握れば、社長(ターゲット)はますます興奮したようで、部屋へ案内する。









「さぁ、こちらへ。」

『わぁ、素敵なお部屋。』

「貴女も素敵ですよ。それで、私にお話とは?」

『実は…組織関係のことなんですけど…』

組織の話を切り出せば、目の前の男は案の定目を見開いて。

「組織関係、ですか。」

『はい… 実は… 本当は、貴方を殺しにきたんです、今日は。』

「え、」

『でも、実際会ってみると、とても素敵な方なのですから… 私には殺せません。私と、手を組んでくれませんか?』

全部嘘。
手を組むつもりはないし、情報だけ渡してくれればいいのだ。

「私を殺しに、ですか… しかし、貴女のようなお美しいお嬢さんに言われて、私も貴女のことは嫌いではありません。それで、手を組む、というのは?」

…単純だ。
こんなんでよくも、今まで組織に殺されなかったものだ。








彼女が社長(ターゲット)を落とすまで、あと少し。

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作者名:紅月 | 作成日時:2018年3月6日 18時

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