22th story ページ28
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降谷side
Aから連絡が来た。
連れ去られた、と。
頭がさっと冷える。
連れ去られた? 一体誰に?
聞いてみればどうやら、ここから少し離れた部屋だとか。
「チッ。」
思わず舌打ちする。
やはり、何かの罠だったのか。
Aに招待状が来た時から、ずっと思っていたこと。
Aの言う通り、ここの社長のことをAは知らない。
ということは、Aに用があるのはここの社長、そう、日野という男だ。
その男とAがどんな関係なのかは知らない。
だが、こうなった限り、真実を突き止めるしかない。
早速部屋を探そうと、そっと会場の裏に出る。
短時間でこのビルから外に出る時間はない。
きっと、このビルのどこかの部屋だ。
___バァン
会場に響く、爆発音。
「っ…そう来たか。」
やはり、目的はAか。
早く助けないと、Aどころか、俺も瓦礫の下だ。
あちらこちらで聞こえる悲鳴。
外ではパトカーのサイレンなどが聞こえる。
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どうやら爆発は今のところ、さっきの一つだけ。
きっとまだ爆弾があるだろうけど、Aが引き止めているのだろうか。
あぁ、だめだ。
早く助けないと。
考えれば考えるほど、嫌な予感がする。
「A、まだ死なないでくれ。」
俺の推測だと、Aがいるのはビルの最上階にある一番奥の部屋。
人を連れ去るにはぴったりと言っていいだろう。
部屋に恐る恐る近づけば、話し声が聞こえる。
男の声とAの声。
一番聞きたかった、Aの声。
無性に抱きしめたくなる。
そんなことできる立場じゃない、そんなの知っている。
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意を決してドアノブに手を掛けた瞬間、俺の意識は飛んだ____
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「…なんだこれは。」
意識を浮上させれば、そこには瓦礫が広がっていた。
灰色の煙がいまだに出ていて。
はっとなり、目の前の扉を見れば、扉は跡形もなく消えていた。
本当におそらくだが、爆発、したんだろう。
___この最上階で。
そしたら、Aは?
Aは、どこに?
焦って辺りを探す。
なぁ、どこにいるんだ。
答えてくれ、A。
このまま死なせるわけにはいかない。
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ひたすら探せば、部屋の奥に誰かが倒れている。
それは、Aだった。
体は血まみれになっていて、荒い息が聞こえる。
___まだ、生きている。
*****
あと過去編書いたら完結ですかね!
お気に入り&評価ありがとうございます(*^^*)
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作者名:紅月 | 作成日時:2018年3月6日 18時