17th story ページ21
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やっと落ち着いたのか、零が私の手を引いてソファに座る。
正直怖くないと言ったら嘘になるが、きっと零のことだから何か事情があったのだろう。
…私が、言わなかったのも悪いし。
零はソファに座ると、私の目を真っ直ぐ見つめる。
『零?』
「A、スコッチのこと、言わないとだめなんだ。知りたいだろ?」
『え、だめなんじゃ、』
「いや、いいんだ。秘密にする理由なんてない。」
どうやら零は、昨夜、私に教えてくれなかったスコッチのことについて、話してくれるらしい。
とはいえ、赤井の存在が知れたし、私としては満足してるんだけど。
「彼の事は今でも悪かったと思っている……そう、
『うん…』
赤井…
やっぱり、スコッチを殺したの?
それが本当に、
…違うって言って欲しかった。
そしたら、楽になれる気がした。
なのに、誰もそんなこと言ってくれない。
『そう、か。』
「A…」
『ありがとう、言ってくれて。少しだけ、楽になった気がするよ。』
嘘だ、全部。
楽になんてなっていない。
残された希望も消された気がして。
夢と現実の境目にいるようだ。
赤井が無事なのは嬉しいのに。
スコッチを殺されたことが悔しい。
変なの…
私は一体誰の味方なんだ。
赤井?スコッチ?零?
わからない。
そもそも、なんで信じたんだ。
組織の人間なんて、みんな腐ってる。
残酷で、優しさなんて持っていない。
ライとバーボンとスコッチが優しいのは、
でも、私は気づけなかった。
信じていた、みんなを。
ライがスコッチを殺すなんて、誰が予想する。
嫌いだ、嫌いだ。
何度も、誰もいない空間にそう言った。
でも、納得できなかった。
やり直したいのに、過去には戻れない。
終わらせたいのに、終わらない。
私は、組織が潰れる時、きっと死ぬ。
零に潰してほしいのに。
愛は意地悪だ。
自分自身をコントロールできなくなる。
どっちが黒と白なのかも、わからなくなってきた。
そんなの、どっちだっていい?
中途半端なのはだめなんだ。
白黒、つけないと。
私は黒、零は白。
住んでいる世界が違うんだ。
最初から結ばれるはずがない。
けれど、私は、そばにいたい。
もう少しだけでいい。
組織が潰れるまででいいから。
組織が潰れる時、
私も、終わらせてください。
零になら、殺されてもいいかもね。
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作者名:紅月 | 作成日時:2018年3月6日 18時