君の大好きな花を。《完》【降谷零】 (ページ13)

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9th story ページ13

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それからの零の行動は速かった。
すぐに情報をまとめ、計画を立て始めていた。

『本当に大丈夫なの？』

「あぁ、問題ない。風見たちだっているからな。」

『風見さんも大変だねー』

「なんか言ったか。」

『ごめんなさい。』

本当に、大丈夫なのだろうか。
まぁ、零がそこまで自信があるのなら、下手な真似はしないだろう。

もしこれで、赤井秀一が生きていたら。
そう考えると、やっぱり複雑で仕方がない。
零はどうするんだろう。

『あの…零は、赤井秀一が生きていたらどうする？』

「そんなの、組織に連れ戻してやるさ。」

『えぇ、赤井秀一が殺されちゃうよ？本当に。』

「知るか。赤井秀一(あの男)にはしっかり罪を償ってもらう。」

罪と償い。
私も、罪を償えるだろうか。
今まで散々重ねてきた罪。
償おうとも、償う勇気さえもない。
そもそも、どう償えばいいんだ。
今から人の役に立つ？
そんなの、殺し屋の私に出来るわけない。
零は、どうやって赤井秀一(あの男)に罪を認めさせるのだろうか。
どう考えても、否定するに決まってる。
所詮、人間みんなそんなもんだ。

『どうやって、償うの？』

思わず聞いてみれば、零は目を丸くさせてからゆっくりと応えた。

「…わからない。だが、このままじゃ嫌なんだ。このまま、何もせずに終わるのが。…スコッチにも悪いだろう。」

なんだ、零もわからないんじゃん。
私と同じじゃん。
じゃあなんで、そう自信満々に言えるの？
罪を償えと。
教えてよ、お願い。

貴方は昔からそう。
完璧主義の自信家。

嫌いだった、そんな零が。
私は、そんなもの持っていないのに。
いつも、貴方に引っ張られて。
いつも、振り回されて。

でも、嫌いなんて言えなくて。
大切な時に、助けてくれるから。
手を、差し伸べてくれるから。

ただその温もりを感じたくて。
ただその温もりが嬉しくて。

消えないで、そう思ってずっと握っていた。
その温もりが離れていくのが悲しくて。
寂しくて、どうしようもなかった。

以前はこんなことは思わなかった。
2年前、あの日からずっと拒んできた。
なのに、つい最近になって、こんなことを一人で思う。
最後に感じた温もりはきっと、2年前のあの日。
あの日からずっと、我慢してきた。
そしてこれからも、我慢していくのだろう。

2年前のあの日をやり直そうとは思わない。

けれど、言わせてほしい。

ありがとう、零。