06 ページ8
.
「ほら、何時までも落ち込んでいないで行くわよ」
『でも…イドーラ様、私……』
何もできなかった。
無能さを体現しただけの私に
彼らの世話をすることなんて無理だろう。
イドーラ様は怪我の手当てをして
1人で暮らせるようになるまで面倒を看ろと言った。
でも私にはできっこないに違いない。
「さっさと立ちなさい。
行くわよ」
バシッ
と背中を蹴られた。
痛い。
「もう、変わってないわね。
変に自虐的なのに完璧主義なところ。
そんなんだから生きにくそうなのよ。
これは成長祝とでもお思い」
そう言われ、
私は釈然としなかったが立ち上がった。
とぼとぼと先を歩くイドーラ様について行った。
……………
…………
………
……
…
カラカラと馬車の揺れが止まり、
屋敷の前についた。
疲れ切った私が馬車から降りると
マーサが小走りで玄関から出てきた。
「随分、遅かったですね！
ご無事で何よりです、A様。
何かあったのかと心配していたんですよ！」
『マーサ、声が大きいですよ』
「ほらほら、A様は お疲れでしょう？
早くお部屋に入っておやすみなさい」
私の両肩を押し、
屋敷のなかへと進めさせるマーサに声をかける。
『あの、マーサ。
イドーラ様が馬車に乗ってらっしゃるから
お茶の1つでもお出しして。
あと……』
私は眠たい頭を抱え
口ごもる。
頭はもう限界のようで
靄がかかった様に働かなかった。
マーサが聞き返してきた。
「何です？」
『ええっと……私、プレゼント……？』
「贈り物ですか？
イドーラ様から？」
マーサは馬車の荷台に積まれている
箱を見て首を傾げた。
『ち、違うの！
その……寝かせて、おいて…ください』
私は何と言えばよいかわからずに
一度だけ礼をすると自室へとふらふらと
入った。
残されたマーサは
馬車の中にイドーラがいないことを確認すると
ゆっくりと箱を開けた。
そこには１つの箱の中に
２人の人間が寝ていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三千幸 - 三毛猫さん» 誕生日タスクを読む前に描いた作品というのと、夢主との関係上こちらの作品ではジョゼフが弟となっております。ご不快でしたら申し訳ございません。 (2020年5月31日 10時) (
レス) id: da694b4a4e (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫 - 初コメ失礼します。間違ってたらすみませんが、ジョセフが兄、クロードが弟だったはずです。失礼しました。(´´・ω・) (2020年4月6日 0時) (レス) id: 33555fdbbd (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - 喰み娘さん» 誤字指摘、ありがとうございます。読んでいただいてとても嬉しいです。 (2020年3月12日 8時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
喰み娘(プロフ) - 初めまして、最後まで読ませていただきました。37の最後の方、イドーラ様の名前間違ってますよ。文字数制限があり粗雑な感想になってしまいますがオークションパロが好きでこれからも読ませていただきます。よろしくお願いします。 (2020年3月12日 2時) (レス) id: b53e9bb8fb (このIDを非表示/違反報告)
ころころ - ビクターくんが入ったらしいですよ！pix○vで何となく調べたらいつの間にか5人になっててびっくりしました！ 私の推しは美智子さんです！ (2020年1月28日 18時) (レス) id: 2ecba7544c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
