20−本邸 ページ32
＿
私はレイチェル。
とある名家に生まれた一人娘。
でも……
それは表向きのはなし。
本当は妹がいた。
名前はAという。
姉になれると心待ちにしていた私を
裏切った妹だ。
悪魔のように白い顔。
老婆のような白い髪。
血のように赤い瞳。
気持ちの悪い子供だった。
私がどれだけ意地悪をしても
「姉さま、姉さま」とくっついてきた。
一体、何が嬉しかったのか。
「はぁ…
…最近、クロード様は来てくださらないのね」
私は窓辺から外を見ながら呟いた。
開けて、綺麗に整備された庭には誰も居ない。
ついさっきまで、
新しく来たエマとか言う女が作業をしていた。
クロード、というのは私の婚約者だ。
あの子にそっくりな白い髪を持ってる青年。
だが、端正な顔立ちは私の好みではある。
それに、お金を生む木でもある。
【商才】があるのだ。
手に職を持つ庶民なども将来性はあるが
使われるよりも【使う人間】の方が良い。
「あら、レイチェル様ったら珍しい」
窓辺を眺めていると
私の下女であるウィラ・ナイエルが入ってきた。
ウィラは成金の娘で、うちに世間勉強をしに来ている。
彼女からは常に【良い香り】がしているのだ。
今日もふわっ、と人工物の花ような香りがした。
「何？
女が婚約者を待ち望むのは自然なことでしょう?」
「そうですね。
待っているのが婚約者、なら」
「いやな女。
ええ、私は【金の生る木】を待っているのよ。
でもお金は大切でしょう。金に変えればもっと困らないわ」
ウィラは私の話を聞きながら滑るように滑らかな動作で
部屋のなかを掃除していく。
「そう言えば……Aさまの通帳を止めたらしいですね」
「早耳ね。そうよ、私がお父様にお願いしたの。
なんでも人間以下の分際で買い物なんてしたらしいじゃない。
………何がしたいのかしら」
私は冷え切ったぬいぐるみを床から拾い上げた。
いつの間にか落ちていたのだろう。
「ウィラ、これ捨てておいて」
「了解しました。
でも、Aさまの買い物って何でしょうね」
「知らないわよ」
あの子は私よりも愛される子だった。
家の中ではもちろん私が優遇されていたが。
あの子は
夢の魔女から【最後を飾るような幸福】
をプレゼントされた。
私が生まれた時には3人の魔導士がやって来た。
あの子の時は世間に知らせなかったから。
でも、1人きた。
祝福を受けたのだ。悪魔の子の分際で。
「許せないわね。なにをしても」
＿
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三千幸 - 三毛猫さん» 誕生日タスクを読む前に描いた作品というのと、夢主との関係上こちらの作品ではジョゼフが弟となっております。ご不快でしたら申し訳ございません。 (2020年5月31日 10時) (
レス) id: da694b4a4e (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫 - 初コメ失礼します。間違ってたらすみませんが、ジョセフが兄、クロードが弟だったはずです。失礼しました。(´´・ω・) (2020年4月6日 0時) (レス) id: 33555fdbbd (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - 喰み娘さん» 誤字指摘、ありがとうございます。読んでいただいてとても嬉しいです。 (2020年3月12日 8時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
喰み娘(プロフ) - 初めまして、最後まで読ませていただきました。37の最後の方、イドーラ様の名前間違ってますよ。文字数制限があり粗雑な感想になってしまいますがオークションパロが好きでこれからも読ませていただきます。よろしくお願いします。 (2020年3月12日 2時) (レス) id: b53e9bb8fb (このIDを非表示/違反報告)
ころころ - ビクターくんが入ったらしいですよ！pix○vで何となく調べたらいつの間にか5人になっててびっくりしました！ 私の推しは美智子さんです！ (2020年1月28日 18時) (レス) id: 2ecba7544c (このIDを非表示/違反報告)
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