ていばん ページ10
その通りは着飾った若い女性が大半で、カップルも目立つ。
ショーウィンドウに並ぶは高級宝石店の目玉商品だとか、俺ですら知っているブランド名だ。
大行列が出来ていて、一時間弱ほど立ちっぱなし。
やっと入店すれば、王道を駆け抜けた可愛らしい装飾が目を引く。
メニュー表を開くも、速攻で「すみませんー！」と店員を呼びつけた。
「なんかさ、結構冗談抜きでデートじゃない？」
「心底面白そうな声で言うな。」
「もうちょっと動揺してくれもいいのに...。」
そんなこと言われても、色々と今更だ。
からかっている時のAはわかりやすい。
頬杖をつきながら携帯をいじり、先に運ばれてきたジュースを飲むA。
噛み癖があるのかストローの先が曲がっている。
「楽しみだなぁ、早く来ないかなぁ。」
「混んでるから多少時間かかんじゃねえか。」
「だよね。」
にまにまと俺を見つめながら呟いたAは、ふと俺の背後に目線をやり、ある一席に目線をとどめた。
どうした、と声をかければ、いつもより少しだけ静かなトーンを出す。
「あれ、うちの制服だ。」
振り向けば、見覚えのないいくつかの顔が見覚えのある制服を着ていた。
うちの1人はクラスで見かけたことがある気がする。同級だろうか。
「それがどうした。」
「ううん、やっぱ流行ってるんだなーっておもって。」
「この間テレビで紹介されたって書いてあったな。」
「....ふうん。」
急に大人しく相槌だけ打つと、少しだけ口を尖らせて俺の背後をじっと見つめる。
珍しい反応に怪訝な顔でもしてしまっていたのか、我に返ったようにこちらに気づいたA。出かけ先で知り合いに会うの好きじゃないからさーなんて。ごく自然に取り繕っていた。
するとウェイターが待ちに待ったパフェを運んできて、銀のスプーンを並べる。
生クリームでも掬おうとすれば、てっぺんのいちごを載せたスプーンが俺の前に突き出された。
「はい、あーん。」
「.....。」
「定番のあれですよ、轟さんや。」
こいつが引き下がるとも思えず、渋々悪ふざけに付き合ってやる。
いちごを咀嚼しながら、満足気Aを眺めた。
「ひゃーおいしい！」
ぱくぱくとパフェを食べ進めるAは、なんだかすごく、幸せそうな顔。
「轟くんも、」
途中で遮られる言葉。
頬についたクリームを親指で拭い、舐めとってやれば。呆気に取られたあほ面。
「定番のあれ、だろ？」
今回は俺の勝ちだ。
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23.4度(プロフ) - BLACKさん» コメントありがとうございます。これからシリアスに突入して二人の間にもまあ色々と起こりますのでぜひぜひよろしくお願いいたします！ (2017年9月24日 21時) (
レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
BLACK - ちょっとシリアスめがいいです！とても面白いです！これからも更新楽しみにしてます！ (2017年9月24日 17時) (レス) id: bbfe5e7001 (このIDを非表示/違反報告)
23.4度(プロフ) - 蛍さん» ご感想ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです...！ぜひ最後までお付き合い下さい (2017年9月21日 17時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - 見てる間めっちゃニヤニヤしてました！更新頑張って下さい！！ (2017年9月21日 10時) (レス) id: 630924d4f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：23.4度 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時：2017年9月18日 10時
