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拾陸 ページ16

「採菊さんは何方が有力と考えて?」


末広さんが訊ねる


「逃亡経路が多岐な南の幹線道路でしょうね。建物の潜伏も容易い」


「けれど、だからこそ列車という考えもあるかもしれません」
 
 

嗚呼、また無意識に思ったことを

そしてまた私は、条野さんの顔色を窺ってしまう

 


 

「裏の裏をかいて、車という考えも有りますね」

「それをよんで列車か」

 

感心したように頷く条野さん
 

「矢張り、建物の潜伏可能、逃げ道が多岐に有る車でしょうかね、結論」

「それならより多くの情報を頭に入れるしかありませんね」
 



と言っても、もう調べつくした

道路がどこで別れるか、近くの潜伏可能な建物、死角、等等


 

「では戻りますか。もう此処は全て頭に入りましたので」

「帰りは、もう樹を薙倒さなくて済みますね、末広さん」


末広さんがバツが悪そうに笑う


 

「Aさん、何か食べますか?」

「え・・・・っと・・・私は別に御腹がすいているいるわけでは無いので・・ご遠慮・・・」


言い終わらないうちに、何処から取り出したのか、苺と七味

 

うげ、此れ七味かけて苺食べる気なんだろうか

 

「同色の食材は食べ合わせが良いんですよ。Aさんも是非」


そう言って苺の上にたっぷり七味が降りかかった苺を差し出される

 


此れは、受け取らないと失礼なのだろうか・・・・

 

 



もやもや考え乍ら半場自棄に手を差し出す

さて一体、どんな味がするのやら・・・。

 


そうして食べようと口に運びかけた時、急に手から苺が消える
 
 
 
 

「貴方の好みで他人にお勧めを押し付けないで下さい。何度も言いますが合いませんから」

横から涙声が聞こえる

 



見ると、条野さんが咽乍ら苺を食べ終えたところだった。
 
 
 

 

「おやおや採菊さんも食べたかったら言えばいいものを」

「別に食べたくありませんし。勘違いは程々にして下さい」

 

口を拭って再び手袋をつける
 


「Aさんの取る事無いでしょう、はいAさん、新しい苺」

「良いです。早く戻りましょう」


条野さんが末広さんに無理やり食べさせると、歩き出す

 
 


 


 


 

―――――――――条野さんが、初めて此方を向いてくれた
 
 
 
 




 

 


「Aさん?」
 

末広さんが心配そうに言う

 


「あ、今直ぐ行きます!」

 



私は返事をし、心なしか軽くなった足取りで末広さんの後を追った。

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物理的 - リクエストです。猟犬メンバーが皆で、お正月を過ごす話を作って欲しいです。 (2018年12月28日 20時) (レス) id: 315b9d08b1 (このIDを非表示/違反報告)
花弁 - リクエスト(ネタ提供)しても良いですか。 条野さんと夢主で祝言を挙げて下さい。 (2018年8月24日 13時) (携帯から) (レス) id: 28273e2d77 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぬゐ。 | 作成日時:2018年8月16日 11時

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