34話 だからこそ ページ36
〜カスミside〜
カスミ「わかるわけないだろ。その人自身じゃないんだから」
「…上層部の奴らの身勝手な理由で、父が目の前で殺された」
「たとえ家族でも、悲しい、悔しい、辛い、理不尽だって同じように思ってもその細部、すべての思考·感情までは違うし、分からない」
「ただ、わからなくても理解しようとすることは出来るんだ」
「だから僕に教えてよ。君の気持ちを理解してあげたいから」
リンタロウ「…その気になったら教えてあげるよ」
カスミ「ありがとう」
リンタロウ「でも、アイツらが変わることができるとは思えない。ましてや"自分を犠牲にする"なんて」
…自分を犠牲にすることがもう一つの脱出する条件なのか？もしそうなら狼になっても羊を殺さなかったリュウ兄さんは助かった。そう考えると手紙の件もリュウ兄さんが生きてるのは納得がいく。
カスミ「…チャンスが欲しい」
リンタロウ「は？」
カスミ「だから、チャンスが欲しいって言ったんだよ。リンタロウ君、僕にチャンスをくれないかな」
リンタロウ「どう言うことだよ。なんでそこまでするんだよ！」
カスミ「なんでだろうね。…確かに人はそう簡単には変われない。けど、大きなきっかけがあれば人は変われると思うんだ。この状況でなら尚更ね」
リンタロウ「そんなのあてにならない。君が変に怪しまれるだけだ」
カスミ「それでも僕はやるよ。君が復讐したいのなら好きにすればいい」
リンタロウ「なんで…さっきはとめようとしてたじゃないか」
カスミ「僕は君の復讐は邪魔しないよ。ただ、狼になった人に問いかける。殺させないようにする。狼ゲームの真相に、自分たちが犯した過ちをわかってもらうようにする。それだけだよ」
リンタロウ「…ボクは君を信じていいの？」
カスミ「さぁ？どうだろうね。なんせ僕は偽善者だから」
リンタロウ「…手紙、読まなくていいの？」
カスミ「はっ！すっかり忘れてた」
リンタロウ「それじゃあ用はすんだから。またね♪︎」
〜スミレside〜
スミレ「あっ、もう終わっちゃったの？」
カスミ「うん。少し前にね」
スミレ「ふーん。あとさ、リュウ兄さんからの手紙を読もうよ」
−手紙を読み終えて−
スミレ「これは…リュウ兄さんが生きてるってことでいいのか？」
カスミ「うん」
スミレ「それにこの手紙に書いてあるアイツって誰だよ！」
「オレちゃんたちと親しい人間と考えるとだいぶ限られてくるけどさ」
35話 生理的に無理って奴と関わるときどうする？→←33話 理由があっても…
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作者名：レド | 作成日時：2023年3月6日 22時
