31話 恨みはしない ページ33
〜カスミside〜
…リンタロウさんの表情、やけに嬉しそうだったな。 これで復讐が出来るって思ったのかな。聞きたいこともあるから後で声をかけよう。さすがに朝や昼には殺人はしないだろう。
サトル「カスミちゃん。カスミちゃんに聞いて欲しいことがあるんだ」
カスミ「聞いて欲しいことですか?」
サトル「うん。どうしても聞いてほしくてね」
それから僕はサトル先生からリュウ兄さんがどうして誰も殺さなかったのか、じつは先生も狼だったことなどを聞いた。
サトル「本当にすまない。私のせいでリュウ君が処刑されてしまった…」
カスミ「…サトル先生、謝らないでください。先生は何も悪くないですよ。ただ、兄さんもサトル先生も運が悪かっただけです」
「僕だって死ぬのが怖いです。ましてや狼になったサトル先生の方がさらに怖かったはずです」
サトル「それはリュウ君も同じだった…。それなのに、私は…」
カスミ「…いくらサトル先生が後悔しようが懺悔しようが兄さんは帰ってきませんよ」
サトル「…」
カスミ「…ですが、それよりもサトル先生が処刑されなくて良かったです」
サトル「えっ?」
スミレ「そうですよサトル先生。最悪な事態は防げましたからね」
「もし、リュウ兄さんが自白をしなかったら、兄さんとサトル先生、2人とも処刑されていたかもしれませんしね」
カスミ「それと、さっきの言い方だとリュウ兄さんは死んでも良かったみたいに聞こえますけど、サトル先生から話を聞いて、兄さんの意志を尊重したいと思ったからです」
「…結局、僕だって兄さんを助けることが出来なかった。スミレもそう。だからサトル先生が悪いわけじゃないんですよ」
スミレ「悪かったとしても、オレちゃんたちも同罪ってことです。だから謝らなくてもいいんですよ」
カスミ「サトル先生だってこの事を言い出すのは辛かったはずです。僕に何を言われるか分からないし、罵詈雑言を吐かれていたかもしれない…。それでもちゃんと先生の口から教えてくれたんです。それだけで充分ですよ」
サトル「…2人ともありがとう。こんな私を許してくれて」
スミレ「許す?さて、何のことやら。オレちゃんたちはサトル先生に謝られるようなことあったけ?」
カスミ「フッスミレらしい」
スミレ「足すべっちゃったー」
カスミ「アダッ!いったいなぁ?!もう!」
スミレ「今のはお前が悪い」
カスミ「えぇ?」
サトル「…ありがとう」
32話 話が脱線する時って結構あるよね→←30話 セット、リターン! 再び
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作者名:レド | 作成日時:2023年3月6日 22時