27 策（あなたside） ページ27
加音との唐突な別れからそろそろ2ヶ月経つ
学校ではすでに「春休み」とか「クラス替え」なんて単語が飛び交っている
授業終わり
私は手早く帰り支度をして教室を出た
和「お疲れ」
下駄箱が見えてくると必ず和がいるのが最近の日課
和の部活が長期休暇に入ってるから支度の早い和がいつも私を待っている
あ「…お疲れ様」
ちょうど私の下駄箱の裏で下駄箱に寄り掛かりながらそっけなく言う彼に、こちらもそっけなく返す
喧嘩をしているわけではない
これは重要な”策”なのだ
気持ちが通じ合ったとはいえ、私たちは兄妹。
中学2年の同い年の兄妹で公共の場ニコニコ話すのはおかしいのでは
と私が言ったのがきっかけ
さらに言えば、当時の私たちは登下校の時ほとんど全く会話をしなかったことも周知の事実
怪しまれないように実行している
現に帰宅途中会話はない
実行して初めて分かったことだけど、和は演技が上手すぎる
たまに私から少し話題を振ると以前の態度そのままで返事が返ってくる
気持ちが通じていることが夢なんじゃないかと錯覚するほど
でも
あ「ただいまー…っ」
家について玄関のドアが閉まると
和「おかえり」
という言葉とともにスキンシップがある
これはこれで心臓に悪くて、いつも驚いてしまうけど
和の演技力のおかげでこの2ヶ月私たちは無事に暮らせている
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作者名：にのもと | 作成日時：2021年1月16日 1時
