心 拍 数 #2

４ １ 拍 目 ページ6

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……かっこいい。
第一に思ったのは、それだった。

黒と緑の、そんなに飾り気のない浴衣。
だけどそのシンプルさが、炭治郎そのもののかっこよさを引き出している。

ドキドキして胸が痛い。
かっこよすぎる。頭が熱い。なんだか熱くて、かっこいいことしか考えられない。
その赤い瞳が、いつもより綺麗に輝いて見えた。




「もう、Aちゃんったら。走ったら着崩れしちゃうよ」


「えっ、そんな簡単に着崩れするの！？うそー……」




真菰の声が聞こえて我に返ると、少し後ろから、いつも通りふわふわした笑顔に戻った真菰と、頬を恥ずかし気に赤らめているカナヲ。そして困り顔のアオイちゃんに、無邪気に笑っている禰豆子ちゃんが追いかけてきていた。




「禰豆子ちゃん！？可愛すぎる……可愛いよ禰豆子ちゃん！！」


「えっ、あっ、ありがとうございます。善逸先輩……」


「伊之助さん、浴衣脱ごうとしちゃだめですよ！動きづらいのは分かりますが、もう少し我慢してください」


「んなことわかってるわ！うっせえ！！」




善逸と禰豆子ちゃん、伊之助とアオイちゃんの様子を微笑ましく見ながらも、「あれ」と真菰の方に向き直った。




「しのぶ先輩はどこに行ったの？さっきはいたよね」


「真菰、錆兎先輩も来ていないんだけど知らないか？」




約束していたのは、炭治郎、無一郎、善逸、伊之助、玄弥、有一郎、錆兎先輩。そして私、カナヲ、真菰、アオイちゃん、禰豆子ちゃん、しのぶ先輩だ。
さっきまで、紫色の浴衣を纏い、大人っぽく色気漂う浴衣を着ていたしのぶ先輩なのに、今はいない。錆兎先輩もいない。




「しのぶ先輩は、ちょっと……ね。お兄ちゃんは、やっぱり行けないんだって」


「そうか……残念だな。また先輩と遊べたらいいな！」


「うん。そうだね」




おい真菰、地味にしのぶ先輩がいない理由を濁すんじゃない。
錆兎先輩は……まあ大学受験も控えているし、何かと忙しいんだろう。





「しのぶ先輩は、合流できそうだったら後で合流するって」


「そっか」




まあ何はともあれ、待ちに待った夏祭りだし！！
人数は減っちゃったけど、楽しまないとね。




――――




「(違う……違うの。錆兎お兄ちゃん、暇だった。予定はなかったの)」


「(でも、呼べなかった)」


「(お兄ちゃんの浴衣姿を見たら、この想いが溢れそうだから)」




「(せめてしのぶ先輩は……冨岡先生と夏祭り満喫してください)」




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