第伯弐拾漆譚 姉さん ページ7
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鈴「あの……ご主人、様」
『鈴? どうかしたの?』
刀についた血を払うと、鈴が肩に乗った。
首を横に動かすと……静かに涙を流す、鈴の姿。
『鈴?』
鈴「蟲柱様……胡蝶しのぶ様がっ……」
『……大丈夫。言わなくていい』
――胡蝶「……A、集中できていませんね?」
優しかった。心配してくれた。笑顔だった。いつも。
――胡蝶「……ありがとう」
胡蝶さんがそう言ってくれた時、嬉しかった。
――胡蝶「……」
いつも黙って、わたしを見守ってくれていた。
死なせたくなかった。できることならこれからも。
でも、もう無理だ。
決めたならやり遂げる。
『……ありがとう、
ごめんね。一度だけ……ううん、ずっと言いたかった。
言えないままだったわたしを、許してほしい。
貴方は、わたしにとって本当の姉のような存在だ。
居場所を教えてくれて、居場所を与えてくれてありがとう。
カナエ姉さん、しのぶ姉さん……。
溢れだそうとする涙をこらえて、また駆け出した。
――――――――――
――――
――――――その頃、栗花落カナヲの方では。
あっけからんと笑う上弦の弐――童磨。
抜刀した日輪刀を握りしめるカナヲ。
ふたりの戦いが今、始まろうとしていた。
――――――――――
――――
栗花落side
童磨「猗窩座殿が何か別の生き物になるような……。
死んじゃったからもう分かんないや」
あっけからんと笑うと、こっちに顔を向けた。
童磨「えーと……あ、そうだ。君に名前を聞いたんだった」
『私は……栗花落カナヲ。胡蝶カナエと胡蝶しのぶ……。
そして――――――雪城Aの妹だ……!』
童磨「えっホント? 肉質の感じからして血縁ぽくないよ?
それにAちゃんって君より年下だよ。え??」
こいつ……Aを知ってる!?
『な、んで……なんで知ってる……!』
童磨「なんでもなにも。忘れられるわけないよねー。
あんな面白い子。うんうん、最高だよ」
そいつはニコニコと笑いながら、飄々と語りだした。
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朱音 - コレは涙ナシには読めません!!ホント作者さんは神です。 (1月4日 18時) (レス) @page47 id: f38b69f778 (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - お疲れ様です。 マジで泣ける。だいたい夢小説ってご都合の良いもの多いけど、この小説は神。無一郎&夢主来世で幸せになってるのうれしすぎ、、!文才ありすぎでしょうらやましい 長文失礼しました これからも頑張ってください! (2023年3月21日 11時) (レス) @page47 id: 1934e7457c (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - Chiffonさん» あわわ、ありがとうございます〜!!なんかめちゃくちゃ嬉しいこと言われて、テンションがおかしくなった作者です() 今世で亡くなることは初めから決まっていたので、そこはサラサラと書けましたね。徹夜で最後まで読んでいただきありがとうございました〜!! (2021年10月10日 21時) (レス) @page47 id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
Chiffon - あの…徹夜で読んだ中学生です…。作者様に一言。泣きました…。今世で亡くなっても来世でまた再開するところとか…。あとですね、文才がですね…。ください← ………すみません。深夜テンションなので意味不明ですね。とりあえず…素敵な作品をありがとうございます (2021年10月8日 4時) (レス) @page47 id: 030621147b (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 無有さん» コメントありがとうございます〜!!スランプ気味ではありますが、次の作品も頑張りますね。 (2021年10月7日 17時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楪日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/
作成日時:2021年5月9日 14時