【金カム夢】雪に拐かされ…２ (ページ3)

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怒涛の戦況乱舞ページ3

土方side

土方「ほう…ナガンか。ロシア兵から戦利品として頂いたか」

『いえ、第七師団の菊田特務曹長殿から頂きました。』

土方「それはそれは…中々粋な事をする男が軍にいたものだな。」

私の言葉にAが返答する。その返答に思わず私の目は細まり、ざわりと心が騒ぎ立つのが分かった。

顔も知らぬ菊田特務曹長と言う男が孫娘に贈り物をした事に孫娘を取られると不覚にも思ってしまった。
しかし、年若い女子(おなご)に拳銃……いや、Aだからか…普通に人生を謳歌している娘であるならば銃を貰った所で喜ばんだろ。しかし、戦争経験を経たAにとっては生きる術の一つ……

『お祖父様、どうかなさいましたか？』

君菊によく似たその目が私を見つめて首を傾げた。
戦争を知らずにいればきっとキラキラ澄んだ瞳で眩しい笑顔溢れる日常を送っていたのだろう。
女の身で、子供でありながら、戦地を掛けたこの子を見て私は笑いかけた。

土方「…いや、銃の腕前期待しているぞ。」

『！はいｯ！』

嬉しそうに目を細め眉根を下げるその笑顔が君菊と重なった。

「歳三様」

君菊の忘形見か…

二階に上がった尾形が窓ガラスを割り、発砲する音が聞こえる。
私とAは揃って玄関の扉に向けて銃を構え、放った。

ドンッｶﾞﾁｬドンッ
バンッバンッ

「うぐｯ…」

「離れろッ！！」

「ひさしから出るなッ！撃たれるぞ！」

扉越しに一人、生き絶えた声が聞こえる。
その銃撃を放ったのはAだった。まぐれか、狙っての事か。今の戦況で訪ねる事は出来ないが、この子がどれ程の死戦を潜り抜けて来たか垣間見た気がした。

そんな時、二階の窓ガラスが割れる音がする。

『！尾形さん』

土方「装填している間に奴等は入って来るだろ
奥に潜んで隙を見て反撃に移れ」

『！了解致しました』

反応を見て分かった。この子の心の中の大半を占めているのは、尾形だと…
無意識かは解らんが、きっと尾形に何かあれば一目散に駆け寄る。そうなれば、必死に守ろうとするだろう。
ならば、私は……祖父として、この子を見守るとしよう。

Aの背中を見送り、影に隠れて装填していれば案の定、兵士が突撃して来た。

「いけいけッ！！
二階だッ！二階の狙撃兵を倒せッ！！」

二手に別れた内の一人に私は刀を振り下ろす。

『私の大切な人をこれ以上傷付けるな！！』

二階からAの声が響いた。

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