【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ40)

今日:4 hit、昨日:65 hit、合計:21,479 hit

白熊ページ40

.

牛山殿と隠れ家を出て少し街に出ると鉱山や工場の大きな音の影響で尾形さんの音を聴き分け、拾う事は困難だった。

『音での捜索は無理そうです…』

牛山「まあ、これだけうるさかったらそうだろうな。」

トンカントンカンと響く音は牛山殿にとってもうるさい物のようだった。

『…噂元は剥製屋でしたっけ？』

牛山「ああ、そこで刺青を見たと言う情報だったな」

尾形さんを探しながら牛山殿とそう話し、「もしかして刺青の情報の所にいるのでは？」と結論に至り噂元である剥製屋へと足を向け始めた時だった。

「はぁッ…！はぁッ…！」

白熊の毛皮を被った男が息を切らせながら私達の横を通り過ぎて行った。

『…』

牛山「…変な男だったな。どうした？嬢ちゃん」

足を止め、無言で白熊の男を振り返る私を不思議そうに牛山殿は訊ねてきた。

『今の人から微かにですが、尾形さんのニオイがした気がします。
それに…もう一人見知った人のニオイも……これは月島軍曹殿？』

牛山「嬢ちゃんの見知ったニオイってなると…」

『第七師団の人になりますね。』

私の言葉に「追うぞ」と牛山殿が言い、私も「了解致しました」と返事をして白熊の毛皮を被った男を追いかけた。

牛山「そう言えば、剥製には毛皮が必要だな。」

『そうですね。ではあの男が例の…』

牛山「第七師団の兵士と一緒にいた可能性があるなら…」

『既に鶴見中尉殿が接触して何か企んでる可能性が高いです。剥製は皮…嫌な予感がします。』

人混みや建物の間等を隈なく探すも石炭採掘の坑道付近まで来たのは分かったが見当たらない。

『…見失いました。』

牛山「あの格好なら目立つと思うんだが…」

『彼が剥製屋なら、あちらに地の利があります。我々が見落としそうな道を進むのも容易いでしょう。』

そんな時、私の耳に聞こえた。

月島「乗れ江渡貝ッ！！」

『！！月島軍曹殿！？』

線路を走るトロッコの轟音と共に聞こえたその声に振り返ると坑道へと入っていくトロッコに月島軍曹と先程目撃した白熊の毛皮を被った男が一緒に乗っていた。

牛山「俺達も追おう！」

『ダメです！坑道の中は入り組んでいて迷路です。トロッコの轟音の反響も激しい…中に入れば道を一つ違えただけで見失います。あちらの有利な立地…』

追いかけようとする牛山殿を制しているともう一つのトロッコが二人を追いかけて坑道へと入って行った。

.