【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ30)

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抗争の合図ページ30

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馬吉が案内した妾の家には日泥の手下と思われる男達の死体が転がっていた。

尾形「こいつ等日泥の手下か？」

署長「これは…一体誰が。仲間割れか。」

馬吉「いや違う。俺達以外の誰かが先に妾を攫いやがったんだ！」

『…死んでから時間が経ってません。』

近くに転がっていた遺体に触れればまだほんのりと体温が残っていた。

さっきのお祖父様の口振り…もしかしてお祖父様の仕業？
刺青人皮が日泥の母親が持っているならば妾の腹の子が孫だと知れば動くだろう、と？

馬吉「こうしちゃおれん！俺達の仕業だと勘違いして日泥が攻めて来るかも…！」

火薬の臭いが残っている。
その時、尾形上等兵が何かを見付け拾った。薬莢(やっきょう)だ。

ーーーーー

馬吉は手下達に命令を出す為に戻った。
本格的な抗争が始まる慌ただしい雰囲気は戦場と似ているな、と呑気にも考えていた。

妾の受け渡しがあの理髪店前だと情報を入手。
尾形上等兵はやぐらからの狙撃、ならば私は建物の影から撹乱させよう。

馬吉のニシン番屋から楊枝を拝借して、取引が始まる前にやぐらからは丸見えだが道を歩く分には見えない屋根の上に身を潜めた。

馬に乗った顔を隠した妾らしい妊婦に…少し違和感を感じた。
所詮勘だが、私の勘は戦場で培った物…

お祖父様達は何処？
見える位置には居ない…足音は……少し距離がある。
３０mくらいかな…

その時、日泥の母親が木箱を雑に放り投げた。

店長が木箱に触れた瞬間、尾形上等兵が馬ごと妊婦の腹を撃ち抜いた。

ダァァアアン

馬は倒れたが妊婦が立ち上がり、顔を隠していた布を取るとお爺さんだった。

成程、違和感はコレだったのか。

尾形「やっぱ、ジジイの変装だと思ったわ。」

やはり尾形上等兵も気付いていたようです。凄いです。流石です。心の中で拍手を送る。

日泥の親父の手を撃ち抜き、尾形上等兵は馬吉に指示を出す。

尾形「馬吉！！床屋の前に落ちてるからさっさと拾いに行けッ！！」

そんな時、私の耳にお祖父様の威圧ある声が聞こえた。

土方「床屋の前まで前進しろッ！！退却する者は斬り捨てる！！！」

現役の侍。そんな言葉が頭に浮かんだ。
私は思わず口元が緩んだ。

『私も動きますか…』

懐から楊枝を出し、建物の影から日泥の手下に向けて指で弾くように楊枝を飛ばした。

プスッ

「イッテ！」

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