【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ28)

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茨戸ページ28

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尾形上等兵と私は茨戸に来ていた。
ここの賭場に刺青人皮が流れて来たと言う噂を聞いたからだ。

ただ、どうやら一つしかないニシン場の抗争が勃発しており日泥の親方とその息子、一番の子分だった久寿田馬吉の勢力争いが起こっているとの事。
警察も一枚噛んでいるようで抗争は黙認され、街は無法地帯と化しているらしい。

そんな話を理髪店の店長は尾形上等兵の髭を剃りながら詳しく話してくれた。

私は勿論、話を聞きながら壁側で待機してます。

店長「はい、兵隊さんの髭整え終わったよ。お嬢ちゃんもついでにどうだ？」

『いえ、私は大丈夫ですので』

頭を丸めてからそこそこの時間が経ち私の髪は現代で言うショートぐらいまで伸びていた。
だが、別段見た目を気にしていなかったので遠慮したのだが…

店長「いやいや、理髪店から出て来た客がそんなザンバラな髪型してたらこっちが商売アガったりだ！美容院までとはいかないが…整えるくらいなら出来る！」

『いえ、あの…』

尾形「ついでに整えてもらえ」

『はい…では、お願いします。』

店長と尾形上等兵の言葉に押し切られて頷き、椅子に座る事になりちょきちょきと心地良い音が耳の横で聞こえる。

店長「……で、あんた等はどっちに売り込む気だ？」

尾形「署長は馬吉にこの宿場町の賭場のナワバリを奪い取らせて賄賂を頂こうって話かい？」

店長「それがな狙いはそれだけじゃ無さそうなんだよ。署長は日泥一味が持っている何かが欲しいんだとか…」

尾形上等兵も私の髪が整えられるのを見ながら二人して会話は再開していた。

ちょっと居た堪れない…

そんな時、窓の外に土方歳三が見えた気がして私は思わずそちらに振り返った。

店長「ちょっとお嬢ちゃん髪切ってる時に急に動いちゃ危ないよ！」

『す、すみません…』

怒られて正面を向かされた。

あれは…お祖父様？茨戸にいらっしゃる…

店長「ほら終わったよ。
兵隊さんの髪型にちょっと似せてみたがどうだ?」

『！すごく良いです！ありがとうございます！』

うなじともみ上げの部分が軽く刈り上げられた、尾形上等兵の髪型に似せてもらい私は上機嫌で店長にお礼を言った。

署長「腕の立つお侍さんって何処にいるの？」

店長「これはこれは署長さん…！
その二人ならしばらく前に出て行きましたよ。」

入って来た署長の髪型を見て私の表情は氷点下に下がりました。

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