【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ27)

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尾形「はぁ…今後俺から指示は出さん。自分で考えろ。
それが出来なければ置いて行く。」

『！了解致しました！』

尾形上等兵の言葉に嬉しくて思わず笑顔になってしまった。

『鶴見中尉殿は最初から造反組を炙り出すために尾形上等兵殿を泳がせていたそうです。
今回このように尾形上等兵殿を発見したのも鶴見中尉殿が尾形上等兵殿に監視をつけさせていたからです。』

尾形「…そうか。なら、谷垣を殺してさっさと立ち去らないとな。」

尾形上等兵が再び銃を構えた瞬間、近くの木にパァァンッと着弾した。

鶴見「奴の頭は撃つな。」

着弾位置から発砲した方角に視線を向けると鶴見中尉と兵士がおり、私と尾形上等兵は咄嗟に身を低くした。

『！？鶴見中尉殿ｯ』

尾形「早いな。勘が良過ぎる。
一目置かれる所か…上官から危険視されていただけの事はある。
お前も俺の後ろをちょろちょろしていたから目を付けられていただろ。」

『…私がそうしたいからしたまでです。
……これを。』

銃弾の雨から身を低くして避けながら移動しては、近くに着弾していく様子に外套の下に隠していた弾薬盒を尾形上等兵に渡した。

尾形「弾薬盒が四つ…弾の確保とは何処で拾った？」

『来る途中にいらした兵士から拝借致しました。』

私の顔に視線を向けた尾形上等兵に笑顔を向けると「はっ」と尾形上等兵は笑う。

尾形「生死の方は？」

『口に布を噛ませ、脚に一刺し…腕も拘束してます。
失血死でもない限り生きているはずです。』

尾形「…上出来だな。」

そんな会話を交わしているうちに尾形上等兵が撃った兵士と二階堂一等卒の確認が終わった鶴見中尉から新たな指示が下された。

鶴見「よ〜しよ〜し、頭をぶち抜いてよし。
藤見は殺すな。まだ利用価値がある。」

『ｯ！？私の…？』

銃声の中、聞こえて来た鶴見中尉の言葉に一瞬眉を顰めた。だが、そんな事気にしている暇は無い。尾形上等兵が反撃に移り、私も加勢の為に銃を構えた。

脚、脇腹、膝…

尾形上等兵を見習って私の狙いも自ずと足元へと向けていた。

尾形「やはりお前には狙撃の素質があるな。」

『尾形上等兵殿程ではありませんが、ありがとうございます。』

発砲の数が減ったのを見計らい。私達は銃を背負い直して駆け出し、その場から離脱したのだった。

鶴見「…藤見、お前はきっと私の元に帰って来る。」

鶴見中尉がそんな事を呟いているとは知らず…

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