【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ14)

今日:32 hit、昨日:22 hit、合計:21,442 hit

見舞いページ14

.

鶴見「酷い目に遭った見たいだね。傷はまだ痛むか？」

『…いえ、あの頃に比べればこれくらい……尾形上等兵殿は大丈夫でしょうか？』

私を気遣う鶴見中尉に申し訳ない気持ちでいっぱいになり思わず視線を落としてしまう。
尾形上等兵が戦っている時に直ぐに動けなかった事
咄嗟の判断や行動が出来なかった事
上官でもある尾形上等兵を守れなかった事に私は落ち込んでいた。

鶴見「尾形上等兵は…まだ目を覚ましていない。」

『！そんなｯ』

鶴見「だが、手術は無事成功した。後は彼の回復力に祈るしかあるまい。」

『成功…良かった。』

鶴見中尉の言葉に心の底から安堵した。
もし、このまま尾形上等兵が…何て事になれば私は自分を責めて死地に自ら飛び込んだだろう。

鶴見「…藤見、君に聞きたい事がある。」

『はい、何でしょう。』

鶴見「……尾形上等兵に傷を負わせたのは君か？」

『…え……？』

神妙な顔の鶴見中尉の言葉に私は一瞬言葉を失った。

今、何て…？

私が尾形上等兵殿に怪我を負わせた…？

『まさか！違います！アレは大柄の男が…うﾞｯ』

咄嗟に否定するもズキンッと頭に鈍い痛みが走り頭を抱えた。

鶴見「いや、すまない。君の戦闘の仕方からでは尾形上等兵にあの様な傷を負わせるのは不可能だ。
それに君のお腹に残っていた痣から大体の足の大きさを予測出来る。それを踏まえた上で尾形上等兵と交戦したとも考えられんと結論が出た。
…藤見、君が気を失う前に何か言いかけていたんだが、覚えているかな？」

『言いかけた、事…ｯ』

思い出そうとするとまたズキリと頭に痛みが走る。

鶴見「…無理か。
どうやら、川に飛び込んだ時に頭を岩で打った様なのだよ。幸い外傷は瘤(こぶ)程度だったが…おそらくそれの影響か、低体温症も相まってか少し記憶が混濁している様だ。」

『そう…何ですね。』

鶴見中尉の言葉に返事を返すも私の頭の中には靄がかかり、ハッキリしない記憶に息苦しさを感じていた。

鶴見「…藤見は傷が回復次第私の補佐に回ってもらう。」

『！私が鶴見中尉殿の補佐に…？』

突然の事に私は目を見開いて訊ねていた。

鶴見「ああ、尾形上等兵はまだ目を覚まさないからな。
それまで私の補佐をよろしく頼む。」

『はい！了解致しました！精一杯努めさせて頂きます！」

敬礼をし、ハキハキとした口調で返答するも声を張った事により頭とお腹に痛みが生じた。

.