生徒会長の恋事情せかんど【伊東歌.詞太郎】 (ページ22)

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10000hit記念！　番外編　大好きページ22

いつだって主役はあの子だと思ってた。

「那月～！」

そう言って抱き着いてくるのは親友のA。
私より背が小さくて、可愛くて。
幼稚園からの私たち。私はいつだってAの引き立て役だった。
いや、私が勝手にそう思ってただけなのかも。

ずっと一緒奈私たちは小学校も中学校も高校も一緒。
高校生になった今でも主役はAだと思っている。
でもそれはAの物語だから。
Aの物語ではわき役かもしれないけど私という物語では私が主役なんだ。

「那月。」

だってこんなにも素敵な王子様がいる。
翔太くん。私がそう呟くように言えば翔太くんは太陽のような笑顔で笑った。
Aは私にデートの時の事とか相談しにくるけど私はAに相談した事がない。

その理由が
〝私しか知らない翔太くんの顔を親友にでも見せたくないから。〟
だったら翔太くんは笑うかな？

私が翔太くんと出会ったのは今年の春だけど好きになったのはもっと前なんだよ？
歌い手の天月として翔太くんを知った。

その日から私、翔太くんの事好きになっちゃったんだよ。どうしてくれんのさ。
こんなに好きになっちゃったじゃん。責任取ってよね。

「翔太くんは私のどこが好きなの？」

思い切って聞いた質問。怖くて俯いた。
でも上の方からフッて笑った声が聞こえたから顔を上げれば翔太くんが私の方を向いて笑っていた。

「笑はないでよ？」

少し心配そうに聞いてくる翔太くん。
コクンとうなずいて答える。

「最初はさ、正直どこが好きか分かんなかったんだ。だからね、Aちゃんと比べてみたわけ。そしたらAちゃんより素直じゃないし、よくやきもち妬くし、子供っぽいし。なんかAちゃんの方がタイプ的にドストライクだったんだよね。」

……え。
もうちょっと、こう、ね？
翔太くんって結構ズバズバ言うよね。Sだし。
私がそれを言おうとした時、翔太くんが口を開いた。

「でも、那月がよかった。素直じゃないとこも、よくやきもち妬くとこも、子供っぽいとこも。全部。全部好き。俺さ、気づかないうちに那月の全部好きになってた。だからさ、大好きだよ、那月。」

翔太くんはそう言って私を抱きしめる。

涙が出てきた。
本当はずつと思ってたんだ。翔太君は私よりAの方がいいんじゃないかな、とか。本当は私の気持ちも迷惑なんじゃないかな、とか。