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「歌、上手だね」
ステージの上の二人を見つめながら、そうたまが呟く。
2番のサビが終わり、隣にいた宮っちがでしょ？と返したときだった。
「「メイキングドラマ、スイッチオーン！！」」
突然、声を高らかに揃える二人を、思わず7人揃って見やると、さっきまで客席にいたはずの俺たちの周りは別の景色に包まれていた。
この空間は見覚えがある。
キミとのキセキのMVの景色だ。
みんな状況についていけていないのか、辺りを見回しながら困惑の声を漏らしている。
「この想い、キミに」
「届きますように…」
「「ときめき…プレゼントフォーユー…！！」」
「「サイリウム…チェーンジ！！」」
最中、俺は一体何を見ているんだろうという感じだった。
まるでゲームか何かの世界に入り込んだような演出。
ライブで使うようなプロジェクションマッピングを360°で体感したような感覚。
彼女たちが繰り広げる世界は言語化が難しく、まさしく夢でも見ているような心地だった。
俺たち全員があっけにとられていると、気づくと周りの景色はもといた観客席に戻り、彼女たちの歌も終わっていた。
誰一人状況を理解できていないというように、全員で顔を見合わせる。
「え、なに…？」
「なんか途中変なとこ連れてかれなかった？」
「変なとこっていうかキミとのキセキのMVの中…？」
「というか最後、衣装、光ってなかったか？」
「やっぱ見間違いじゃないよね…？」
「よし！！やったねレイちゃん！」
「ええ。まぁ、当然だけれど」
俺たちが困惑を口にしていると、そんな会話をしながら彼女たちがこちらにやってくる。
「ねぇ、今のなに…？」
最初にそう問いかけたのはたまだった。
たまの問いかけに、リンは驚いた？と返す。
「間奏でやったのは、“メイキングドラマ”っていう演出。わたしたちの届けたい思いを形にした演出なの」
「メイキング…」
「ドラマ…？」
たまと宮っちが不思議そうに繰り返す。
説明を聞いても尚なんだかよくわからない。
それに…
「最後の、衣装が光ってたやつは…？」
俺は思わず彼女たちにそう問いかけていた。
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作者名：かしわもち | 作成日時：2023年3月1日 12時
