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ドラマ撮影の合間に、彼女と出会った時のことを思い出す。
彼女と出会ったのは半年前。
あるオフの日の夜、なんとなくテレビをザッピングしているとライブの中継らしきものが目に止まった。
「プリパラ…」
"プリパラ"という単語には聞き覚えがあった。
確か、女の子なら誰でもアイドルになれる場所で、独自のシステムを構築しているプリパラの中では他人の曲を勝手にカバーしても権利の侵害に当たらないとかなんとか。
そんな治外法権のような場所があるのかと思ったが、そもそも誰でも行ける場所ではなく、プリチケという特別なチケットを持った女の子しか入れないと聞いて、ある種のファンタジー空間なんだと無理やり納得した。
宮っちが以前楽屋で熱弁していたのをふと思い出す。
プリパラの中には数々のグループが存在するらしいが、中でもダントツで人気のグループがあるらしい。名前は確か…
そこまで思案して、テレビから聞こえてきたイントロに思わず目を見張る。
「なんっで…………」
画面に映る2人組の女の子がパフォーマンスしていたのは、紛れもなく俺たちのデビュー曲、Everybody Goだった。
オリジナルへのリスペクトを感じさせつつも、まるで自分たちの曲のように堂々と歌うその姿は圧倒的で、目を離さずにはいられなかった。
その姿を見て宮っちが言っていた言葉を思い出す。
「ローズクラウン…?」
「そう!Rose Crown!通称ロークラ!
そうだ、Rose Crown。
プリパラ内で圧倒的人気を誇る2人組ユニット。
詳しくはよく分からないが、宮っち曰く、"一番神アイドルに近い2人"らしい。
話を聞きながら神アイドルって何なんだ、と思ったのを思い出す。
テレビに映る2人がそのRose Crownの2人であると直感的に感じたし、よく見ると2人の後ろのモニターにはしっかりロゴが映し出されていた。
そんな圧倒的人気を誇る2人がなぜ俺たちの曲をカバーしたのかがよく分からず画面を凝視する。
気づけば1曲終わっていて、歓声に包まれる2人が画面上に映し出されていた。
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作者名:かしわもち | 作成日時:2023年3月1日 12時