8 S ページ8
「じゃぁ、またな」
「うん、おやすみ。オーナーによろしく、週明けにでも行くよ」
「おっけー。じゃ、また」
また、と軽く手を振ってニカと別れる。
別れ際のニカの表情に、いつも心のどこかが引っかかる。
なぜかわからないけれど。
ひとりで置いていかれるような心細さが胸に残る。
小さな違和感は、ニカに会うとすぅっと消えて、別れるときにまた生まれるのが不思議だ。
この違和感をなくしたくて、ニカに会いたくなるのかもしれない。
ニカに会えば、あの少し掠れた声を聞けば、なぜか安心するから。
少し夜風にあたろうと、最寄りよりひとつ手前で降り、夜の公園を歩く。
日付が変わる少し前、昼間は子どもたちのはしゃぐ声であふれているはずのこの場所も、流石にこの時間はひっそりと静まり返りまるで眠っているようだ。
帰り道だろうスーツ姿のビジネスマンが数名、俺を追い越していった。
少し先から、ふたり連れのシルエットが近づいてくる。
小さなバッグとリードの先に小さな丸っこい影。愛犬の散歩でもしているのだろう。
どんなワンコかな、と眼を凝らしたら柴犬みたいだ。
ふさふさの巻尾がぷりぷり揺れて可愛いな、なんて思ってたら、聞き覚えのある声。
「…千賀?」
「え?」
柴犬を見てた視線を飼い主に向けるとそこには、ほっそりした長身。
仕事で出会ったことのある、思い詰めた眼をしてたあの男と一緒に。
「横尾、さん」
「久しぶり、だな」
少し困ったように微笑う彼は、俺が知ってる見慣れたスーツ姿じゃなくて。
なんだか知らないひとみたいだ。
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泉綾香(プロフ) - あんにんさん» 恋情ではなく、心配してるのに蚊帳の外に置かれたような淋しさがあったのかもしれないですね。弟みたいな感じかな。渉さんと太輔さんも穏やかに過ごしているようです(*^o^*) (2015年9月23日 22時) (レス) id: 1faea3bb26 (このIDを非表示/違反報告)
あんにん(プロフ) - 千賀さんの苦しかった胸の内が救われて良かったです!!そして、彼の目を通して穏やかな渉さんと太輔さんに、思わずうるうるしてしまいました(;_:) (2015年9月23日 16時) (レス) id: a5fe0938cb (このIDを非表示/違反報告)
泉綾香(プロフ) - keitoさん» ありがとうございます(*^o^*)マロも幸せに頑張ってます。 (2015年9月23日 15時) (レス) id: 1faea3bb26 (このIDを非表示/違反報告)
泉綾香(プロフ) - あんにんさん» お待たせしました。2人が再会しました。そして、ニカ千はどうなるのか。描写も楽しんでいただけたら嬉しいです(*^o^*) (2015年9月22日 22時) (レス) id: 1faea3bb26 (このIDを非表示/違反報告)
泉綾香(プロフ) - ゆう☆さん» こちらこそ、遊びにきてくださってありがとうございます。ようやく、動き出しそうです(*^o^*) (2015年9月22日 22時) (レス) id: 1faea3bb26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泉綾香 | 作成日時:2015年5月22日 22時