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1 prologue ページ1

みどりの風がさらさらと木々を揺らす。
やさしい木漏れ日の下、公園のベンチにふたりの青年が座っている。

「はい、味見よろしくー」
「うん。わ、おいしそ〜。見た目はいいじゃん」

彼が差し出したランチボックスの蓋を開けた、青年の大きな瞳が輝く。

「テイクアウト用に考えてみたんだって。あの人がウチの店来てから、フードメニュー充実しちゃって、カフェタイムも忙しいんだよな…」
「…ふふ。そっか。うわ、うまっ!これ見た目だけじゃなくて味もうまいよ。女性受けするだろなー。いつから出すの?テイクアウトなら俺も買いにいこうかな」

どこか寂しそうに微笑う青年を見て、彼は気付かれぬよう、きゅっと口唇を噛み締めた。

「6月の新メニューだってさ。梅雨時だし、具材は変わるかもな」
「あー、そか、傷みやすい具材は避けたほうがいいのかぁ。わ、もうこんな時間か、そろそろ戻るわ」
「おー、あの人にお前が美味かったって言ってたって伝えとく」
「ん。サンキュ。じゃ、またな。明日、夜に行くわ」
「あぁ、じゃ、明日な」

ぱくぱくとサンドウィッチを頬ばって、最後の一切れを飲み込んだ青年は、軽く彼に手を振って、急ぎ足でオフィス街へ向かって行った。

「…テイクアウトなら、か。まだ、あの人にちゃんと会う気はないんだな」

意気地なし…と嘯いた言葉は、青年に向けたものなのか、それとも彼自身へのものなのか。
さぁっと吹き抜ける風に彼のつぶやきは流されていった。

2 N→



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設定タグ:キスマイ , ニカ千 , 藤横   
作品ジャンル:タレント
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泉綾香(プロフ) - あんにんさん» 恋情ではなく、心配してるのに蚊帳の外に置かれたような淋しさがあったのかもしれないですね。弟みたいな感じかな。渉さんと太輔さんも穏やかに過ごしているようです(*^o^*) (2015年9月23日 22時) (レス) id: 1faea3bb26 (このIDを非表示/違反報告)
あんにん(プロフ) - 千賀さんの苦しかった胸の内が救われて良かったです!!そして、彼の目を通して穏やかな渉さんと太輔さんに、思わずうるうるしてしまいました(;_:) (2015年9月23日 16時) (レス) id: a5fe0938cb (このIDを非表示/違反報告)
泉綾香(プロフ) - keitoさん» ありがとうございます(*^o^*)マロも幸せに頑張ってます。 (2015年9月23日 15時) (レス) id: 1faea3bb26 (このIDを非表示/違反報告)
泉綾香(プロフ) - あんにんさん» お待たせしました。2人が再会しました。そして、ニカ千はどうなるのか。描写も楽しんでいただけたら嬉しいです(*^o^*) (2015年9月22日 22時) (レス) id: 1faea3bb26 (このIDを非表示/違反報告)
泉綾香(プロフ) - ゆう☆さん» こちらこそ、遊びにきてくださってありがとうございます。ようやく、動き出しそうです(*^o^*) (2015年9月22日 22時) (レス) id: 1faea3bb26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:泉綾香 | 作成日時:2015年5月22日 22時

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