2タイプ ページ33
僕が10歳になった時、牢屋に兵士が来ました。
牢屋に兵士が来るということは滅多にありません。
見張りは、「僕達は子供だから」とつけられていませんでした。
1日1回ある食事のカビたパンと濁った水は、いつもメイドさんが持ってきて。
その代わり、僕らのところに兵士が来るということは生贄を捧げる準備が出来たということ。
すると、その兵士は言ったのです。
mb「ここにAというやつはいるか。」
と。嗚呼、次は僕なんだって。
もうみんなと別れなくちゃいけないのかなって。
少しだけ、悲しかった。
『僕です。』
と言うと、牢屋の鍵が開けられて僕はその兵士に腕を掴まれ、石畳を引きずられながら、城に連れていかれました。
抵抗はしません。だってしてもかなう訳が無いとわかっているから。
ガリガリに痩せた子供の僕と、筋肉でガッシリしている兵士。
僕は連れられ、脱衣場に行かされました。
そしてそこで身を清められ、今まで着たことがないサラサラとした手触りの服を着せられました。
僕はその時、初めて「お湯」というものを知りました。
そして思うのです。
嗚呼、僕はこれから邪神に捧げられて、大人になることが出来ないまま死んじゃうんだなぁって。
でも違った。
僕は捧げられず、その代わり、王の間へ連れていかれました。
僕が困惑していると、
王「貴様がAか。使用人から聞いておるぞ。綺麗な顔立ちをしていて美しい歌声を持っていると。将来貴様にはα国の宮廷音楽師になってもらう。」
つまり、僕は捧げられることは無かった。
その代わり、僕には音楽の先生がつけられました。
その時、バイオリンやパイプオルガンの弾き方を習いました。
辛かった。
練習は楽しかった。「初めて」がたくさんで、先生も優しくて。
でも辛かった。
僕は城で暮らし、牢屋で食べることの出来なかった美味しい食事と、綺麗な水やジュースを飲む。
僕と歌っていた仲間は僕がこの暮らしをしている間、牢屋で歌を歌って泥水を啜っていて。
きっと僕の代わりに邪神に捧げられる人もいたはず。
仲間だったのに、僕だけが裕福な暮らしをしている。
そう思うと罪悪感で辛かった。
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Nanaki(プロフ) - ノエルさん» 完結させて頂いた!!コメントありがとうございます!ノエルさんのその一言が次の作品を書く意欲につながります! (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - なみだめさん» おめでとうコメントをありがとう!なみだめさんを楽しませることができて嬉しい!! (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - mo4さん» mo4さんのコメントで更新頑張れました!読んで頂けたうえに面白いと言っていただけて幸せです。ありがとうございます!! (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - あめさんさん» しっかり読んでくれてありがとうございます!命令系敬語がすき...同士ですね!?いやこれ同士だわ。(確信)次の作品ももし良ければ読みやがれ下さい! (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - yukinaさん» ありがっと!次の作品もよろしくです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nanaki | 作成日時:2019年11月2日 2時