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夫婦 Ao.T ページ18

包丁で何かを刻む音が聞こえてきて、吸いこまれるようにキッチンのほうへと向かう。

するとそこには、エプロン姿で作業をするAちゃんがいた。
俺は彼女の後ろに立って、手元を覗きこんだ。


「何作ってんの?」

『肉じゃがと、あとお味噌汁ね』

「何それ、最高じゃん」

『でしょー?』


ドイツで夫婦生活をはじめて半年。最初は初めてのことだらけで苦戦していたAちゃんも、この頃はだんだん余裕がでてきた。


「Aちゃん、もうドイツには慣れた?」

『まぁ、なんとかね。ドイツ語も少しだけ話せるようになったの』

「え、すごいじゃん!ちょっと話してみてよ」

『えーと、Guten Tag.Mein Name ist A.Schön, Sie kennenzulernen. どう?』

「上手い上手い!すごいよAちゃん!」

『えへへ···』


Aちゃんは照れ笑いをして俯いた。そして、慣れた手つきで作業を進めていく。


「なんか手伝おうか?」

『碧くんは今日試合で疲れてるでしょ。ゆっくりしてていいよ』

「···そっか、ありがと。じゃあ明日は俺がご飯作るね」

『ありがとう。よろしくー』


俺は彼女の腰に後ろから腕を回して、耳元で囁いた。



「Vielen Dank für alles. Ich liebe dich.」

『今のなんて言ったの?』

「···さあ?」



いずれ分かる日が来るよ。
これから先何十年も、君に言い続ける言葉だから。






(requested by りお様)

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茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました!! (5月16日 16時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます!!めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました!リクエストありがとうございます!! (2023年5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです!いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます!! (2023年5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です!リクエストありがとうございます💞💞 (2023年5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜屋 | 作成日時:2023年1月30日 8時

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