【stpr】マフィン焼いたら家燃えた 2

マフィン79 ページ34

莉「俺だったら先輩にあんな顔させないし、先輩を一番に大切にします。
だから、俺にしてください」

もの悲しげなその言葉は私の心臓の深くを抉ってくる

『わかったって、わかったって言えたら良かったのになぁっ・・・！』

私に泣く資格なんて何もないし、ましてや泣いていい理由もない

なのに涙がぼたぼたと溢れて止まらない

『ごめん、ごめん・・・っ』

うつむき、繰り返し呟く私にりいくんはどこまでも優しくしてくれる

莉「んーん、先輩が謝らないでよ。俺の方がごめんだもん」

無理なこと言ってごめんね、と付け足すりいくん

溢れる涙を拭いながら頭を下げる

『りいくん、好きになってくれてありがとう』

たった一言だけだったけど私なりに言いたいことは言えたつもりだ

暫くそのままで待っていると嗚咽が聞こえてくる

莉「っ、こちっ、こちらこそ、俺として見て、くれて、ありがとうっ・・・」

途切れ途切れ、そう伝えてくれたりいくんを抱き寄せて少し泣いた






『どう？落ち着いた？』

莉「うん、ごめんね」

まだ目元が赤いりいくんにジュースを差し出し隣に座る

『りいくんはさ、もっと自分を大事にするんだよ。誰かの代わりなんてしなくても充分すぎるくらい立派なんだから』

先輩が保証する、と付け足すとりいくんは照れ臭そうにはにかむ

莉「ふふ、ありがとう。そー言えば先輩」

『ん？どした？』

がさがさとカバンを探って何かを取り出すりいくん

その手に握られていたのは

『何でも券？』

莉「そ。まだ使ってないからお願い一個いい？」

もちろんいーよ、と返すとりいくんは少し名残惜しそうにそれを見つめて口を開いた

莉「さっきのこと、忘れてほしい」

『え』

真剣な眼差しでこちらを見つめるりいくん

さっきのことは告白のことだろうがなぜ忘れてほしいのか

意図がわからず呆気にとられているとりいくんは親切に説明してくれる

莉「やっぱり会うたびに気まずくなったりするの嫌だから、いっそ無かったことにしたいの」

その方が先輩も良いでしょ？と頬をかき、言うりいくん

けどりいくんは、

『りいくんはそれで良いの？』

そうする時いつも悲しそうなんだ

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