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博美「終わった〜!!」
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座りっぱなしだった姿勢を大きく伸ばし
出来上がったばかりの原稿を持って
上司のチェックをもらう
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いくら頑張っても
このチェックが通らなければ
この頑張りも写真や文字たちも
世の目に触れることはない
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博美「部長、チェックお願いします」
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パソコンの画面にかじりついているこの部長
正直
みんなからの信頼などない
ただの名前だけ“部長”
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こんなに慌しい中でも
仕事をするわけでもなく
パソコンゲームで時間をつぶしている
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部長「そこ置いといて〜」
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こちらを見ることなく
机を指差したその先には
他の人のチェック待ち原稿が山積みされていた
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時刻は就業間近
チェック待ちの原稿がまだ返ってこない
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痺れを切らし部長の元へ向かうと
部長の姿はなかった
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博美「部長、どこ行ったか知らない?」
後輩「今日はなんか用事あるって、さっき帰宅されましたよ」
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後輩が指差した出席ボードの欄には
“所用のため16時帰宅”の文字...
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もちろん私の原稿は
部長のデスクに残されたまま
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こんなことが以前もあった
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みんなから批判された部長は悪びれもせず
また“部長席”に座った
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原稿は
ライターにとって子どものようなもの
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大切に大切に育てて
社会へ送り出す
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それがないがしろにされ
今正に
目の前に取り残されている
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それだけではない
この原稿が出来あがらない限り
雑誌自体作り上げることができない
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他の人にも迷惑がかかるし
一冊を作るのは個人ではなく
チームで協力するのが何よりも大切
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それを
現場を仕切る部長がわかっていないなんて...
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自分の原稿をペラペラとめくり
気づいたときには
その原稿の裏に辞表を書いていた
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明日から出勤しないこと
この会社での未来が見えないこと
この原稿は提出するがお給料は一切いらないこと
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それだけを書いて
自分のデスク周りを整理した
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作者名:橘花恋 | 作成日時:2012年9月4日 2時