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宝箱を開けるとき

女の子はいつだってドキドキする


そこにあるってだけで

ワクワクがとまらない

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冴島さんの言葉は

私をそんな気持ちにさせてくれた


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今日は自炊頑張っちゃおう〜

と単純な私は

食材一つ選ぶにもニヤけてしまうほど

危ない人間


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レジに長蛇の列ができていても

例え順番を抜かされたとしても

今日ばかりは

何もかも許せてしまう

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そんなワクワクを抱えながら

マンションへの道を歩いて帰った


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マンションのエントランスを抜け

私の癒しの場

505号室を目指す


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エレベーターを降り左に曲がる頃

鍵を取り出すため

鞄の中に手を突っ込んだ瞬間

鉄の塊が手に触れる


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博美「一発で見つけるなんて
やっぱり今日はついてるな〜」

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なんて

また浮かれた足で歩いているときだった


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博美「.......?」


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いつもの変わらない景色


いつもと同じ距離

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私の感覚でいうなら

いつもこの距離で

自分の505号室を確認する


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しかし

確かに私の部屋であろう扉の前に

誰かが座り込んでいる


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三角に折り曲げた膝の上に頭を乗せ

うなだれている様子の男性


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博美「...え?誰?」


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さきほどまでの浮かれた足はどこへやら


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一気に心拍数が上がり

恐る恐る近づいてみた


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博美「あのー…すみません…」


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上から声をかけてみたが

動く気配なし


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どんな人なのかと思い

同じ目線にしゃがんでみるが

膝にキャッチされたその顔は

下から覗き込まない限り

確認することはできず

確かだったのは

お酒の匂いと小さな寝息


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博美「酔っ払いかぁ…困ったなぁ」


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肩をちょんとつついても

腕をゆさゆさ揺らしても

反応なし


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しかし

背中をぴったりと扉にくっつけられていては

部屋に入ることができない


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警察呼ぼうかな…

でもこういうときって

管理人さん?


なんて考えていたとき


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作者名:橘花恋 | 作成日時:2012年9月4日 2時

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