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名物の1123段の階段。
地元民だからまだ進めているのであって、本来ならば100段前後でバテているだろう。
懐中電灯が点灯と消灯を繰り返す。
階段の隣の森から、本来ならば聞こえるはずの虫の声や動物の唸り声のようなものは相変わらず感じ取れないまま。
懐中電灯の消灯時間が延びていく。
ようやく最初の鳥居、901段目に到着する。
足元が見えず、踏んでしまった枝からパキッという音が鳴る。
「…っ！」
いつのまにか感じていた恐怖からか声は出ず、けれども戻ろうだなんて感じれない自分に少々の違和感を覚えた。
1123段目。
赤く大きく、そして立派な鳥居がようやく姿を現す。
それをくぐれば神社となる。
ゆっくりと深呼吸を繰り返し、目を少しだけ閉じて心を落ち着かせてから神社に入ることに。
そして目を恐る恐る開けると、そこには一人の男性が立っていた。
「…君は…？」
こんな時間帯に神社にいる人なんて神主さんや関係者以外ないだろう。
そう考えると少し冷や汗。
「…ぇと、A…です。」
とりあえず名前を告げ、怪しいものじゃないよと言わんばかりに両手を上げる。
すると彼が少しピクリと反応した。
「…なるほど、A…さんね？」
…まさか、学校の先輩とか…！？
それだったらまずい。バレてしまえば両親に連絡がいくのはもちろん、最悪の場合は賽銭泥棒と言われることだ。
どうしよう…なんてぐるぐると考えていたら、いつの間にか男性は私の目前まで来ていた。
「…覚えて、ないんだ。」
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作者名：人形傀儡 x他7人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/setting.php
作成日時：2022年7月25日 16時
