十二輪 ページ23
「っ……それは……」
……確かに、自分でも感じていたことではあった。
江戸に来てから、短期間にたくさんの新しいことを吸収できて、楽しかった。
だけどその反面、身体を酷使……と言っても、他の人から見たら全然そんなことないんだろうけど……したからか、日に日に身体が重くなっているのを感じていた。
何も言えない私を見て、お兄ちゃんは言った。
「だからさ……一回、武州に帰るのはどうかな?」
「武州に?」
頷き、お兄ちゃんは続ける。
「あァ。
丁度総悟にも、一回武州に帰って家の整理でもしたらどうか?って言っててな。
それも兼ねて、総悟と一緒に一度武州に帰ってみるのはどうだ?Aちゃん」
(武州……)
確かに、武州の空気は綺麗だし、身体の調子も少しは良くなるかもしれない。
そう思った私は、頷いてお兄ちゃんに言う。
「そう、しようかな」
「うんうん!
そうと決まれば話は早いな!
総悟!お前明日から2週間ほど休め。
江戸でAちゃんとゆっくりするも良し、武州でゆっくりするも良し!
家の整理も兼ねて一回リフレッシュしてこい。
お前、前から働き詰めだったろ?」
「へい、まァ……」
そーくんは曖昧に頷く。
「よし、決まりだな!」
そう言って満足したように頷いたお兄ちゃんに背中を押され、私達はお兄ちゃんの部屋を後にした。
.
お兄ちゃんの部屋を出た私達は、ひとまず私の部屋で二人で向かい合って座っていた。
「えっと……これからどうする?そーくん」
「……まァ、二週間っつう長ェ休みも貰ったことだし、急がなくてもいいだろィ」
「うん……そうだね」
私が頷くと再び部屋に沈黙が落ちる。
(……気まずい……)
何か話題はないかとソワソワしだした私をチラリと見てから、そーくんはふと何かを思いついたように声を上げた。
「……なァ、A」
「え、な、何?」
いきなり声をかけられ驚いていると、そーくんはポツリと言った。
「オメェ、明日出られるか?」
「え?う、うん……一応……」
荷物は少ないし、まとめるのにそんなに時間はかからないはず。
そう思って頷くと、そーくんは「んじゃ」と言って立ち上がる。
「明日出るぜィ」
「え?」
「何でィ。明日はやっぱり無理か?」
「え……と、無理、というか……」
(神楽ちゃんたちに挨拶した方がいいかとも思ったけど……)
チラリとそーくんを見上げ、思い直す。
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赤羽@美羽(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!これからもよろしくお願いします♪ (2020年3月13日 9時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - めっちゃ面白いです!さっそくお気に入り登録しちゃいました!更新楽しみにしてます、頑張ってください! (2020年3月12日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年9月11日 7時