＊ ページ16
「おいちょっと待て神楽！
今日俺の誕生日！！！」
「関係ないアル。早いもん勝ちネ」
「んだとォ！？」
「あァ、もう！
神楽ちゃんも銀さんも落ち着いてください！」
また皆さんでわいわい騒ぎ始めたのを見届けてから、私はアップルケーキを一つ取り、お登勢さんのところへと戻る。
「どうぞ、お登勢さんも食べてください」
「おや？ありがとね」
お登勢さんはそう言って一口ケーキをかじる。
「うん、とっても美味しいよ。
十分さね」
「本当ですか？よかったです……」
ほっと安堵の息をつき、再び皆さんへと視線を向ける。
何だか取り合いになっているようだけれど、その光景さえ微笑ましく感じて思わず笑みをこぼす。
……と、お登勢さんが静かに口を開いた。
「アイツはさァ……きっとまだ、自分がどれだけの人間に想われてるかってのを知らないんだよ」
「……え？」
「自分は祝われるほどの人間じゃない、とか思ってんじゃないのかね。
んなことないのにさァ。
周り見てみろってんだ」
「……」
(あぁ、そうか)
坂田さんは確かに、人と一定の距離感を保っているように見える。
それは、自分のことをそんな風に思っているからなのだと、今、お登勢さんに言われて知った。
でも、そんなの悲しすぎる。
新八さんだって、神楽ちゃんだって……勿論私だって、坂田さんのことを、とても大事に思っているのに。
「……じゃあ」
口を開き、私はお登勢さんと目を合わせる。
「じゃあ、これから毎年、私たちが祝いましょう。
また来年も、再来年も、皆でこうやってわいわい過ごしましょう。
……そうしたら、坂田さんも気づいてくれるでしょうか？」
(自分が、どれだけ想われているか)
すると、お登勢さんはふっと笑った。
「そうだねェ。じゃあ仕方ない。
来年もアイツの誕生日、これでもかってくらい騒いで祝ってやろうかね」
「はい」
私はお登勢さんのその言葉に頷き、再び賑やかな皆さんへと視線を戻した。
.
「……い、起きろ。おい、起きろって」
「……？」
身体を揺さぶられる感覚に目を開けると、坂田さんが私の横に立っていた。
どうやら眠っていたらしく、私はカウンターに突っ伏していた。
「……坂田さん？」
「おォ、やっと起きた。ほら、帰んぞ。
早くしねェとまたどこぞのマヨラー兄貴に怒られるぞ」
その言葉に顔を上げて時計を確認すると、なるほど、もうすぐ10時になってしまうところだった。
「そうですね」
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赤羽@美羽(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！これからもよろしくお願いします♪ (2020年3月13日 9時) (
レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - めっちゃ面白いです！さっそくお気に入り登録しちゃいました！更新楽しみにしてます、頑張ってください！ (2020年3月12日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤羽@美羽 | 作成日時：2019年9月11日 7時
