三十一輪 ページ38
……というか、坂田さんと桂さんは知り合い同士みたいだったけれど、どこで知り合ったんだろう。
坂田さんは万事屋だから、お仕事の依頼人だったとか?
でも、ただの依頼人とこんなに気心知れる仲になれるものなのかな……?
2人の関係性について考えていたら、桂さんが言った。
「うむうむ。やはり雰囲気などそっくりだなぁ。
なぁ、そう思わんか銀時」
思わず坂田さんを見ると、坂田さんは私にチラリと視線をやって呟いた。
「……まぁ……似てんな」
「だろう!」
桂さんは坂田さんが同意したことに満足したように頷いた後、私に尋ねた。
「姫宮……いや、A殿はお父上のことを知らないのか?」
「え?あ、はい。
私が物心ついた頃には、もう父は家にいなかったので……」
私が言うと、桂さんは「ふむ……」と言うと、私に向かって言った。
「君のお父上は……」
「父」という単語に、父のことを知れるかもしれない、と期待して少し身を乗り出すと、坂田さんは「ヅラ」と桂さんの言葉を遮り、私の肩を引いた。
「坂田さん?」
「銀時?」
2人してキョトン、と声を出すと、坂田さんは言った。
「Aちゃん、もう帰った方がいいんじゃない?
また保護者たちに心配されちゃうよ?」
「え……」
驚いて外を見るも、まだ外は明るく、お八つ時にもなっていない。
「まだ大丈夫ですよ?坂田さん……」
しかし坂田さんは、さっき疑問形だったにも関わらず、「んじゃ、行くか」と私の腕を取った。
「あ……」
そのまま外に連れ出されてしまうことを察した私は、慌ててラーメンの分のお金をカウンターの上に置く。
「あのっ!ラーメンとても美味しかったです!
ごちそうさまでした!」
カウンターで食器を片付けていた幾松さんに言うと、幾松さんは「あぁ、また来てくれよ」と微笑んでくれた。
幾松さんと会話している私の横で、坂田さんもお金をカウンターの上に置くと、
「じゃあな、幾松。また来らァ」
と、私の腕を引いた。
「銀さん、あんまり強引にするんじゃないよ」という幾松さんの声を背中に、私たちは店を出た。
北斗心軒を出た私は、坂田さんから借りたヘルメットを被り、坂田さんの原動付自動車……いわゆる“原チャ”の後ろに乗っていた。
坂田さんと私を乗せた原チャは、江戸の街を走っている。
「あの、坂田さん!」
風圧に対抗しようと声を大きくして坂田さんに問いかける。
「ん〜?何〜?」
「こっち、屯所と逆方向なんですけど……!」
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赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» いつも読んでくださりありがとうございます!そういうことを言っていただけると、とても嬉しいです!創作意欲につながります!更新頑張ります! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - お久しぶりです!更新ありがとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。土方さんと一緒にいる主人公ちゃんを見て怒る沖田さん。主人公ちゃんに優しい沖田さん好きなのでこれからも楽しみです! (2019年6月19日 19時) (レス) id: 98522d48ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年3月28日 16時