十六輪 ページ23
そして場所は変わり、現在万事屋の前に私は立っている。
手ぶらもなんだと思って、大江戸マートで林檎を買ったので、私の片手にはそれが入ったビニール袋がある。
ピンポーン、という音を聞きながら少しの間待っていると、ガララ、と扉が開き、辛そうな表情の坂田さんがでてきた。
「あ、ぎだ」
「おはようございます、坂田さん。
……大丈夫ですか?」
どこからどう見ても大丈夫そうじゃない坂田さんに、思わず私は問いかける。
「あー……」
坂田さんは面倒臭そうに頭の後ろを掻くと、「まぁ、入ってくれや」と私を中へと促した。
坂田さんに案内されるままある襖を開けると、川の字になって布団が三枚敷いてあり、そのうち二枚では新八さんと神楽ちゃんが寝ていた。
「あ!A〜」
私に気づいた神楽ちゃんの枕元に私は座り、「神楽ちゃん、おはよう」と挨拶してから、おでこに手を当てる。
(……熱い)
あまりの熱さに私は驚き、思わずおでこに貼ってある冷えピタシートに触れる。
冷えピタシートは完全に温まっており、触るとふにふにと柔らかかった。
「神楽ちゃん、大丈夫?」
思わず問いかけると、「A〜」という気怠げな言葉の後に、「お腹空いたアル」と言われた。
「お腹?」
予想外の言葉に驚いて訊き返すと、「ウン」と神楽ちゃんは頷く。
時計を見ると、なるほど、もうそろそろ昼ごはんの準備を始めてもいい時間。
「じゃあ、お昼ご飯を作ってくるから、ちょっと待っててね」
そう言ってから、布団に入り直そうとしている坂田さんに私は問う。
「あの、坂田さん。
台所、お借りしてもいいですか?」
「おう。好きに使っでぐれや」
「ありがとうございます」
その後、私は部屋を出て冷蔵庫を開ける。
(お昼ご飯の前に、まずは冷えピタシートを変えなくちゃ)
触れた冷えピタシートの感触を思い出しながら、私は新しい冷えピタシートを探す。
しかし、私はまず冷蔵庫の中の食べ物の少なさに驚く。
中には、いちご牛乳の紙パック(大きいやつ)と食べ物が少々しか入っていない。
(これは、買い物に行かなきゃいけない)
これじゃあ中々ご飯にしてあげられないな、と少し申し訳なさを感じながら冷えピタシート探しを再開する。と。
(あ、あった)
冷蔵庫の奥の方にあった冷えピタシートを手に取り、私は再び3人が寝ている部屋に戻る。
そうして、3人それぞれの冷えピタシートを変えていく。
貼り終えると、私は言った。
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赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» いつも読んでくださりありがとうございます!そういうことを言っていただけると、とても嬉しいです!創作意欲につながります!更新頑張ります! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - お久しぶりです!更新ありがとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。土方さんと一緒にいる主人公ちゃんを見て怒る沖田さん。主人公ちゃんに優しい沖田さん好きなのでこれからも楽しみです! (2019年6月19日 19時) (レス) id: 98522d48ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年3月28日 16時