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(まだこんなに綺麗に桜が残っている場所があったなんて)
「……知らなかったな」
思わず呟くと、「何がだよ」と返事が返ってきて、私は思わず驚いて振り返る。
「っ……十にぃ」
他の隊士の方は既に泥酔している方もいるのに対して、十にぃはまだ全然酔っていないみたいだった。
「……うん、あのね。
こんなに桜が綺麗に残ってる場所があること、知らなかったな、って」
さっきの質問に答えると、「あぁ」と納得したような声が聞こえ、隊服姿ではなく、私服の着物姿の十にぃが私の横に腰を下ろす。
「ま、そうだろうな。
ここは江戸の中心からも離れてる。
『知る人ぞ知る』って場所なんだろうよ」
十にぃはそう言ってお酒が入った盃を傾ける。
(……)
その様子を見ていた私は考える。
(満月+満開の夜桜+十にぃ……)
十にぃは流石真選組一のモテ男と言われるだけあり、夜桜を背景にお酒を呑んでいるだけでも絵になる。
(格好いいな……)
ぽおっとその光景を見つめていると、「何だよ」と十にぃが居心地悪そうに顔を背ける。
そんな十にぃに、私は言った。
「……十にぃ、格好いいなって思って……」
その言葉に十にぃは驚いたように目を少し見開くと、「何言ってんだテメェは」と目を逸らしてしまう。
けれど。
(……もしかして……照れてる？)
顔を背けた十にぃの顔はほんのり赤くて、私の頬は自然に緩んでいく。
「っ……」
十にぃはチラリとお兄ちゃん達がいるところに目をやると、「げ」と声を漏らし、「はぁ」とあからさまなため息をついた。
「十にぃ？どうしたの？」
十にぃが何を見たのか顔を向けようとすると、いきなり視界が真っ黒に染まる。
「っ……十にぃ？」
驚いて声をかけると、「お前は見るな」と返ってくる。
その様子を少し不思議に思いながらも頷き大人しくしていると、「さぁ、どうする……」という十にぃの声に被せるように、「おぉい、何やってんでィ土方ァ」という声が聞こえた。
(この声と、特徴的な喋り方は……)
「そーくん？」と思わず問いかけた私の声と同時に、十にぃの「総悟」という声が聞こえる。
(やっぱり、そーくんだ)
そう思ったと同時に、十にぃの呆れたような声が聞こえる。
「テメェ……呑みやがったな……」
「うるせェな土方ァ。
別に良いじゃねェですかィ、あそこの馬鹿どもほど呑んでねェし」
はぁ、と十にぃがため息をついた後に、「まぁ、丁度良かったわ」という声がした。
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赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» いつも読んでくださりありがとうございます！そういうことを言っていただけると、とても嬉しいです！創作意欲につながります！更新頑張ります！ (2019年6月20日 7時) (
レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - お久しぶりです！更新ありがとうございます！いつも楽しく読ませていただいてます。土方さんと一緒にいる主人公ちゃんを見て怒る沖田さん。主人公ちゃんに優しい沖田さん好きなのでこれからも楽しみです！ (2019年6月19日 19時) (レス) id: 98522d48ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤羽@美羽 | 作成日時：2019年3月28日 16時
