検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:53,328 hit

八輪 ページ9

「遅ェ」

そーくんはそう言ったものの、満更でもなさそうな顔をしていて、その様子に私は頰を緩める。



そうしていると、十にぃが反対側から言った。

「今日は悪かったな、部屋に行ってやれなくて」

本当に申し訳なさそうにしている十にぃに、私は首を振って言った。

「ううん、気にしないで。
お仕事、忙しかったんでしょ?」

「……あァ、まァ……な。

どうだ?熱の方は。
微熱だとは聞いたんだが……」


「うん、だいぶ良くなったみたい。
身体が凄く軽い」

「そうか」


私の言葉を聞いて十にぃは頰をほんの少しだけ緩めると、マヨネーズ(カツ)丼を口に掻き込み始めた。



すると、次は目の前の席にお兄ちゃんがやってきた。

「Aちゃん、風邪を引いたんだって?!
もう大丈夫なのかい?」

「うん、大丈夫だよ。
ありがとう、お兄ちゃん」


笑って答えると、お兄ちゃんは私の頭を撫でながら、「ごめんなァ、見舞いに行ってやれなくて」と言う。


(……どうして皆、私の頭を撫でたがるんだろう)

坂田さんにせよ、お兄ちゃんにせよ、十にぃにせよ。

ううん……、と内心首を傾げていると、そーくんが不機嫌そうな顔をしていることに気づく。


「そーくん?」

不思議に思って呼びかけると、今度はそーくんが、お兄ちゃんの手が去って行ったばかりの私の頭を撫で始める。


(そーくんまで……!)



……いや、まぁ、十にぃやお兄ちゃんは、昔から私を褒めるときなどに頭を撫でてくれていたから、2人が私を撫でるのは何となく分かる。


坂田さんの場合は……坂田さんの身長だと、『私の頭の位置が撫でやすいのかもしれないから』かも。


じゃあ、そーくんは……?


(理由が……見当たらない)


そーくんが私を撫でてくれる理由が分からず、私は内心ずっと首を傾げ続けるのだった。









次の日。

もうすっかり元気になった私は、万事屋に向かい、お礼の品を持って江戸の町を歩いていた。

わざわざお見舞いに来てくれたんだから、元気になったことを報告したいと思ったから。



その道中、公園の前を通りかかると、「あ、A!」という元気な声が聞こえて、私は足を止めた。


(この声は……)

「神楽ちゃん?」

振り返りながら問うと、神楽ちゃんが定春くんを連れて走り寄ってきているのが見えた。


「A、元気になったアルか!?
もう寝てなくていいアルか!?」

私の元に着いた途端、心配そうな顔で言ってくれた神楽ちゃんに、私は頷きを返す。

九輪→←七輪



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
70人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» いつも読んでくださりありがとうございます!そういうことを言っていただけると、とても嬉しいです!創作意欲につながります!更新頑張ります! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - お久しぶりです!更新ありがとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。土方さんと一緒にいる主人公ちゃんを見て怒る沖田さん。主人公ちゃんに優しい沖田さん好きなのでこれからも楽しみです! (2019年6月19日 19時) (レス) id: 98522d48ea (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年3月28日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。