十三輪 ページ18
ミツバ姉と暮らすことで、私は辛い食べ物に対する耐性?のようなものができたみたい。
辛党ではないけれど、辛いものが好きになった。
程よい辛さのカレーを堪能していると、山崎さんが通りかかった。
「あ、お疲れ様です、山崎さん」
「あ、Aちゃん」
声をかけると、私に気づいた山崎さんは笑顔で「ありがとう」と言ってくれる。
(やっぱり、山崎さんの雰囲気は柔らかい)
改めて感じ、私は再び話しかける。
「山崎さんは、お食事は終わったんですか?」
「あぁ、うん。
これからこの前の潜入捜査の報告書を書くんだ」
「そうなんですか」
……潜入捜査をしていたんだ。
(知らなかった)
その事実に少し驚きながらも、私は笑顔で言った。
「お仕事、頑張って下さいね」
「っ……あ、ありがとう」
和やかに山崎さんと話していると、そーくんの声が割って入ってきた。
「おいザキ。
そこの廊下の角のトコの部屋の神棚直しとけ。
落っこちてきたから」
「え?」
……神棚?
その言葉に山崎さんも驚いたらしく、訊き返す。
「え?神棚ですか?」
「おぉ」
そーくんは気の無い返事をして続けた。
「テメェ、そういうの得意だろィ」
「え?あぁ、まぁ……」
曖昧に言葉を返す山崎さんに「やってこい」とそーくんが睨みを効かせると、「は、はいぃ!了解しました!」と言って食堂を出て行った。
(あ……行っちゃった……)
……神棚、か……。
山崎さんの背を見送りながら考え込んでいる私に、そーくんは問いかける。
「おい、A、どうした」
「え?あ、うん……。
……あのね、神棚が落ちてきたって言ったでしょ?
だから、何か不吉なことが起こるんじゃないかって心配で……」
そーくんたちが命のやり取りを仕事としていることを、私は知っている。
実際に現場を見たことはないけれど、きっと凄く緊迫しているところなんだろうと、容易に想像ができる。
だからこそ、
そんな私の様子を見ていたそーくんは、席を立ち上がる。
驚いてみると、そーくんは既に食べ終わっていたらしく、カレーのお皿は空だった。
立ち上がったそーくんは言う。
「テメーが心配することなんかねェよ。
俺たちが強ェことくれェ知ってんだろィ」
「っ、それでも……」
心配なものは心配だから。
それでも尚食い下がらない私に、そーくんは言った。
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赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» いつも読んでくださりありがとうございます!そういうことを言っていただけると、とても嬉しいです!創作意欲につながります!更新頑張ります! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - お久しぶりです!更新ありがとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。土方さんと一緒にいる主人公ちゃんを見て怒る沖田さん。主人公ちゃんに優しい沖田さん好きなのでこれからも楽しみです! (2019年6月19日 19時) (レス) id: 98522d48ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年3月28日 16時