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三十一輪 ページ33

「っ……ケホケホ、坂田、さん……っ?」


……この人は一体、何をしているのだろうか。


「悪いな、ゴリラ。
ちょっとコイツ借りてくぜ」

「え、ちょ、万事屋!?」


お兄ちゃんに一声かけた坂田さんは、お兄ちゃんの言葉など気にも留めず、その場を離れる。





為すすべもなく私が連れて来られたのは、誰もいない病院のロビーだった。

時計を見ると、もうとっくに面会時間終了の時刻は過ぎている。


まだ咳をしたままの私の横に座ると、坂田さんは言った。

「どうだ?大分落ち着いたんじゃねェの?」

「っ、はい……」


ケホケホ、と咳をこぼした後、私は坂田さんに頼んだ。

「あの、ケホケホ、申し訳ないんですけど、ケホッ、お水を、持って来てもらえませんか?」

「水?」

「はい。発作を抑える薬を、持っているので……」


私が途切れ途切れに伝えると、
「あーもう分かったから喋ンな」
と言い、坂田さんは水を取りに行ってくれた。



坂田さんが持って来てくれた水で薬を飲み、暫くすると発作も落ち着いてきた。

「……ありがとうございました」

私のお礼に、坂田さんは気の抜けた返事を返し、問う。

「……で、テメェは何の病気なわけ?」


……助けて貰ったんだし、教えるべきだよね。

そう思った私は素直に答える。


「……少し、喘息を……」

「喘息、ねェ……」

「……はい」


坂田さんの「そう」という言葉の後に訪れた沈黙に耐えられず、私は立ち上がり、言う。

「……あの、私、戻りますね」

その私の言葉に眉を寄せ、坂田さんは言う。

「あァ?お前、戻ンの?
また発作起こってもしらねェぞ」

「それは……」


最もな意見だと思う。

でも……。


「……でも、心配なんです」

私が眉を寄せて言うと、坂田さんは、「はぁ」と息をつき立ち上がる。

「……ほら、行くぞ」

「……」


(やっぱり、優しいな)

そう思いながら、私は坂田さんを追ってミツバ姉のいる集中治療室に向かった。





「やめろって言ってるんでィ!」

「!!」

道中、急に聞こえた怒鳴り声に、私はビクリと肩を震わせる。


この声の主は……そーくん?


私は知らず早足になる。
そんな私に、坂田さんは何も言わずについて来てくれる。



やがてそーくん達が見えて来て、さっきの大声のことを尋ねようとした、その時。


「!」

お兄ちゃんがそーくんの胸ぐらを掴む。


「お兄ちゃん!?」


驚きやら何やらで叫んでしまった私に被せて、もう1つの叫び声が聞こえた。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 真選組   
作品ジャンル:アニメ
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あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» 受験お疲れ様でした! (2019年3月1日 0時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!受験が終わりましたので、どんどん更新していきたいと思います! (2019年2月28日 19時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» お忙しい中更新ありがとうございます!受験頑張ってください!これからも楽しく読ませていただきます。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!もうすぐで受験が終わるので、そうしたらもっとテンポよく更新できるようになると思います!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2019年2月11日 16時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。沖田さんが好きで読ませていただいています。更新ありがとうございます。ミツバ篇好きな話なので、これから主人公ちゃんもどうなるか楽しみです! (2019年2月10日 12時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2018年11月18日 2時

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