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二十二輪 ページ24

ミツバ姉の部屋に行くと、入れ替わりで蔵場さんが出てきた。


私が手に持った鍋を見て、蔵場さんは言った。



「それは?」


「お粥です。
流石に何も食べないのも、身体に悪いと思って……」


「そうか。確かに、何も食べないというのもいけないからね。
お粥ならミツバでも食べられるだろう」


そう言って蔵場さんは踵を返す。


「君も、遅くまで起きていないで早く寝なさい」

「はい、おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ」





私は部屋に入り、ミツバ姉に声をかける。


「ミツバ姉」

「Aちゃん?」


私に気づいたミツバ姉は、布団から体を起こす。


「もう起き上がって大丈夫なの?」

その姿を見て思わず言うと、ミツバ姉は、嫌だわ、と笑って言った。

「そんなに心配しなくても大丈夫よ」

「そう?なら良いんだけど……」


それからミツバ姉は私が持っている鍋に目を止めて言う。


「それは?」

「お粥だよ。
少しだけでも食べられないかと思って」


そう言って私はミツバ姉の布団の側に座る。


「ありがとう。
丁度お腹が空いていたの」


そう言ったミツバ姉に、私は、「無理して食べないでね」と言ってからお粥をよそってあげる。



お礼を言ってお粥を食べ始めたミツバ姉は、「さっきね」と話を始めてくれる。


「蔵馬さんと、念の為入院しておこうかって話をしてたの」

「え」


私の感じていることはそんなに顔に出やすいのか。

ミツバ姉は、慌てて付け足す。


「そんなに大袈裟な理由じゃないのよ?
ただ、検査も兼ねてちょっと入院するだけだから。

心配しないで?」


「そっ……か」



最近のミツバ姉の具合の悪さをよく知っている私には見え見えの嘘。
そんなこと、きっとミツバ姉にも分かっていたんだと思う。

それでも、ミツバ姉が吐いてくれた優しい嘘を「嘘でしょう?」ということは、私には出来なかった。



「ところで」


ミツバ姉は暗い空気になってしまったことを気にしたのか、妙に明るい声で言った。


「さっき、十四郎さんに会ったんでしょう?」

「あ……うん」

「……どうだった?」


ミツバ姉の瞳が真剣味を帯びた気がして、私は思わず言葉に詰まる。


きっとその問いは、ミツバ姉が自分自身で確かめたいことだから。
私が簡単に答えてしまっても、いいものなのかどうか。


私が何も言えずにいると、ミツバ姉は優しい瞳で私の言葉を促す。



「元気そう……だったよ。

それから……」





変わらず、優しかったよ。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 真選組   
作品ジャンル:アニメ
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あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» 受験お疲れ様でした! (2019年3月1日 0時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!受験が終わりましたので、どんどん更新していきたいと思います! (2019年2月28日 19時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» お忙しい中更新ありがとうございます!受験頑張ってください!これからも楽しく読ませていただきます。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!もうすぐで受験が終わるので、そうしたらもっとテンポよく更新できるようになると思います!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2019年2月11日 16時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。沖田さんが好きで読ませていただいています。更新ありがとうございます。ミツバ篇好きな話なので、これから主人公ちゃんもどうなるか楽しみです! (2019年2月10日 12時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2018年11月18日 2時

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