【銀魂】リコリスの花束を君に【沖田総悟】

十五輪 ページ17

「ねぇ、神楽ちゃん。
そろそろ小腹が減らないかしら」


お八つ時になると、お妙さんは神楽ちゃんにそう問いかけた。


「そうアルな！」と神楽ちゃんは笑顔で頷いて、私に言った。


「もう少し行くと、団子屋があるネ。
そこの団子、メッチャ美味しいアル！

そこで良いアルか？」

「うん、勿論」


私が頷くと、神楽ちゃんは私の手を引いて走り出す。


「ひゃっほおい！団子アル団子アル！！」

「あっ」

「神楽ちゃん！？」


慌てたような新八さんの声が聞こえたけれど、神楽ちゃんは気にする様子がない。


「っ、待って、神楽ちゃん！」

今日は、昼の薬を飲んでいない。
薬を入れていた鞄を、屯所に行く前に蔵馬さんの家に置いてきてしまったから。

だから、なるべくはしゃぎ過ぎないように気をつけてはいたんだけれど……。



「ハァ、待って、神楽ちゃん……ハァ、止まって……」

息が上がっている私に気づいたのか、神楽ちゃんは足を止めてくれた。


「っ、A！？」


「もう、神楽ちゃん、いきなり走り出しちゃダメでしょ？」


後から遅れてやってきた新八さんも、私の異変に気づいたのか慌てたように言う。


「Aさん！？大丈夫ですか！？」

「は、はい……少し休めば……」


私は息苦しさを感じながらも、何とか笑みを浮かべて答えた。


「もう少し行けば、お団子屋さんの縁台で休めるわ。

……そこまで、頑張れるかしら？」


「っ、はい……ありがとうございます……」









お妙さんや新八さんに支えられながら何とか団子屋に辿り着き、私は一息つくことができた。


店主の方に出してもらったお茶を一口飲んでから、私は言った。


「すみません、大分落ち着きました。
ありがとうございました」

「いえ、気にしないで下さい」

「A、ごめんヨ」


本当に申し訳なさそうに神楽ちゃんがいうものだから、
「気にしないで！私が薬を飲み忘れただけだから」
と此方も少し慌ててしまう。


「……ホントごめんアル」

私の言葉を聞いてもなお申し訳なさそうな表情を崩さない神楽ちゃんにさっきまでみたいに笑って欲しくて、私は言った。


「それより、折角きたんだから、お団子食べよう？
私、神楽ちゃんがオススメしてるの、食べたいな」


「お団子」という言葉に反応したのか、神楽ちゃんはパアッと笑顔になって言った。

「任せるネ！」

そして、「おじちゃーん」と店主の肩を呼んで、私と神楽ちゃん、2人分のお団子を注文した。

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