十六輪 ページ18
「薬、ですか?
もしかして、何処か悪いんですか……?」
おずおずと新八さんが聞いてきて、心配させてしまったかと焦り、私は慌てて言った(隣のお妙さんも何処か心配そうな顔をしていて、私はさらに焦ってしまった)。
「いえ、何処かが特別悪い、とかではなくて……。
ただ、喘息を患ってしまっているので、それ用のお薬です」
「そうなのね。
あまり、無理しちゃダメよ?」
「はい、ありがとうございます」
「それなら、お団子食べ終わったら、薬を飲みに帰ったほうがいいかもしれませんね」
「そうね。
江戸に慣れていない子があまり夜遅くで歩くのも心配だし……」
確かに、一回発作が治ったからといって、次もちゃんと治るか分からないし……。
「そうですね、ここのお団子を食べたら帰ることにします」
「えぇ、それがいいわ」
お妙さん達の気遣いの言葉に胸が暖かくなっていると、「へい、お待ち」と、店主の方がお団子を持ってきてくれた。
いつの間に注文したのか、新八さんとお妙さんの分もちゃんとある。
因みに2人のお団子には餡子がのっていた。
「わぁ、お団子アルお団子アル!」
そう言って神楽ちゃんは、キラキラした瞳でお団子にかぶりつく。
私もお皿を受け取り、みたらし団子を口に入れた。
「わぁ、美味しい!」
武州にある顔見知りのおばちゃんが作っているお団子も美味しいけれど、ここのもとても美味しい。
「ダロダロ?
ここのお団子はみたらしが一番アル!」
そう言いながら、神楽ちゃんは10本、20本とお団子を平らげていく。
「……ねぇ、神楽ちゃん。
そんなにお金払えるの?」
新八さんの素直な問いに神楽ちゃんは悪気もなく答える。
「払えるわけないアル。
そんなのも分かんないアルか?
だからお前はいつまでたってもダメガネのままあるよ。
こんなん、銀ちゃんにツケとけばいいアル。
どうせ銀ちゃんもここの団子食べてツケ貯めてるアル。
丁度いいネ」
「いや、あの人が他人の分まで払えるわけないでしょ……」
新八さんの呆れたような声を聞きながら、「銀さん」という初めて聞くワードに、内心首を傾げる。
ここで「銀さんって何方ですか?」と聞くのも憚られて、私は何も言わなかった。
ただ、失礼かもしれないけれど、新八さんの話からして、「代金を払えきれないほどたくさんお団子を食べる人」ということだけは想像できた。
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あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» 受験お疲れ様でした! (2019年3月1日 0時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!受験が終わりましたので、どんどん更新していきたいと思います! (2019年2月28日 19時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» お忙しい中更新ありがとうございます!受験頑張ってください!これからも楽しく読ませていただきます。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!もうすぐで受験が終わるので、そうしたらもっとテンポよく更新できるようになると思います!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2019年2月11日 16時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。沖田さんが好きで読ませていただいています。更新ありがとうございます。ミツバ篇好きな話なので、これから主人公ちゃんもどうなるか楽しみです! (2019年2月10日 12時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2018年11月18日 2時